「医療費削減」、そして「消費税増税」の真実
 
  1. 改めて「消費税」を考える(12/10/18)
  2. 税制・財政についての虚と実(12/8/2;Youtube):左のスライドを開き、別のwindowで右の動画をご覧下さい。
  3. 消費税増税は必要ない(12/8/2)
    •    
  4. 控除対象外消費税放置に懸念(11/8/6)
  5. 医療をめぐる控除対象外消費税問題(09/12/3)
      
  6. 与謝野担当相の消費税増税の説明に反発の声=民主党部会(11/6/9)
  7. IMF「消費税15%提言」報道に財務省ヤラセ疑惑(10/8/6)
  8. 消費税増税の嘘・経済的打撃の嘘(11/6/10)、主要国の対外純資産額(10/1/4)
          
  9. 消費税の社会保障目的税化のまちがい(08/9)
    1. 輸出製造業は消費税によって巨額の輸出戻し税を得ている
    2. 消費税は転嫁の実態からいって経済的弱者から強者への所得移転を促す大企業優遇の税制
  10. 消費税率5%でも、税収はEU各国と同程度(保険医協会)
    • 政府は、日本の法人税は高すぎると、連続して法人税減税を行なって来た。1988年には42%だった税率が、2003年には30%に下がっている。15年間の消費税の税収は136兆円にのぼるが、同じ時期の大企業から税収(法人3税)は131兆円も減収しており、消費税が大企業の納めるべき法人税の減税・減収の穴埋めにされている。
  11. 消費税増税は何の為か(10/7)
    • 経団連が法人税減税に固執するのは、国際競争力の強化よりも、寧ろ配当金と内部留保の引き上げをしたいというのが本音。
  12. 輸出戻し税関連:
    1. 経団連が消費税増税に賛成なもう一つの理由消費税増税は必要ない
    2. 「消費税のカラクリ」(斎藤貴男著)を読む
          
  13. 脱「医療費亡国論」の要旨(08/9)
    1. 医療費を巡る情勢と私の考え方(吉村仁氏)
    2. 医療費亡国論は本当か
    3. 「医療が滅ぶ」 ⇒ 「もうやめませんか?低医療費政策」
  14. 財政赤字と財源問題
    1. 医療費で財政は破綻しない
    2. 医療改革-希望の芽の拡大と財源選択(09/1)
  15. 患者は三重の負担
    1. 患者は税金と保険料で既に医療費を負担しており、窓口負担を加えると医療費を三重に負担していることになる(欧米諸国では受診時の患者負担は原則無料)
    2. 日本の還元率(税金や保険料が医療や福祉に使われる割合)は先進国中最低水準。
  16. 世界同時不況と日本の医療・社会保障(08/9)
    1. 医療に関しての財源確保は、保険料をきちんと引き上げること、が重要。医療費財源の構成は保険料が約5割、公費が地方負担を含めて4割弱、患者負担分が1割強という構成。つまり、財源確保=消費税引き上げ、公費の増額=消費税引き上げ、ではない!
    2. 具体的には、1)国際的な水準と比べて低いサラリーマンの健康保険料(事業主拠出分を含む)の引き上げ、2)高額所得者の国民健康保険の保険料引き上げ、が必要。
  17. シナリオ通りの「医療崩壊」(09/2)
  18. 日本と世界の公務員平均年収(10/6):他の国々のほぼ2倍
       
  19. 天下りさらばニッポン官僚社会アリの話
  20. 批判ができない新聞


「消費税のカラクリ」(斎藤貴男著)を読む、から
  1. それに対して、大企業は消費税導入によって利益を得た。消費税を財源として法人税減税がなされただけではない。輸出戻し税制度によって、輸出企業が仕入れのために支払った消費税分はほとんどが還付されるという。
    〈政府の予算書をもとに概算すると、たとえば2008年度における消費税の還付総額は約6兆6700億円。この金額は同年度の消費税収入16兆9829億円の約40%に相当している〉(102ページ)。
     その恩恵を主として受けるのは、トヨタ自動車やソニー、本田技研工業、日産自動車、キャノン、マツダ、パナソニックなどの大企業であり、〈各地の税務署から主要10社に振り込まれた還付金の総額は約1兆1450億円で、全体のやはり30%近くを占めていた〉(103ページ)という。

世界同時不況と日本の医療・社会保障 (二木立氏:『日本医事新報』「時論」2008年12月27日号(4418号):76-79頁)
  1. 世界同時不況により明らかになったこと
    1. 80年代以降、世界経済を理念的・政策的に主導してきたアメリカ流の市場原理主義・新自由主義の破綻が誰の目にも明らかになった。
    2. 世界金融危機により、経済の枠を超えた「アメリカ一極支配体制」が終焉を迎えた。
    3. 「小さな政府」を理論的に支えてきた主流派経済学(注1)の行き詰まりが明確になった。
      • 注1:新古典派経済学
        1. 「効率的市場仮説」に基づき、規制のない自由市場による経済活動の自動調節・均衡を絶対化して、政府の財政政策の役割を否定。
          
  2. 世界同時不況が日本の医療・社会保障に与える影響
    1. 新自由主義的医療改革の復活はない。
      1. 新自由主義が国際的に挫折し、現在、新自由主義的医療改革の全面実施を主張する有力組織が存在しない 。
    2. 社会保障費抑制の数値目標は見直される。
      1. 医療危機・医療崩壊が社会問題化し、医療・社会保障の拡充を求める国民の声が強まり、マスコミの論調が変わった。
    3. 内需主導経済への転換で社会保障拡充の可能性。
      1. 国土の荒廃と政府債務の巨額累積を招いた公共事業の反省に立ち、『平成20年版厚生労働白書』では社会保障の経済効果が相当高いことが計数的に示された。
            
  3. 社会保障拡充の鍵は、
    1. 医療・社会保障拡充の財源についての国民合意の形成、
    2. 医療者の自己改革による国民の医療への信頼の回復
         
  4. 医療に関しての財源確保は「保険料をきちんと引き上げること」が重要
    1. 医療費財源の構成:保険料が約5割、公費が地方負担を含めて4割弱、患者負担分が1割強という構成になっている。つまり、財源確保=消費税引き上げ、公費の増額=消費税引き上げ、では無い
    2. 具体的には下記2つが必要:
      1. 国際的な水準と比べて低いサラリーマンの健康保険料(事業主拠出分を含む)の引き上げ。
      2. 高額所得者の国民健康保険の保険料引き上げ。

「財政赤字と財源問題」
暮らしと経済研究室 山家悠紀夫氏(全国保険医新聞 第2398号 2〜3頁)
●財政赤字をどう捉えるか おかしな政府の捉え方
  • 政府は、日本は財政が非常に厳しい状況にある、借金が多くてどうしようもないという話をひたすらしております。例えば先進国中最悪だ、家計に例えたら何ともひどい状況だ、これから高齢化になってますます大変になる、将来こんなに大変な問題が起こってくる、などと言っております。こうした政府の財政赤字の捉え方の何が問題かということです。私は、政府が、借金残高の大きさばかりを強調していることが問題だと思います。そこに何が抜けているか。2つの視点が抜けています。
    1. その1は、政府の借金を、借金だけでなく政府の資産もあわせて見る、という視点です。確かに政府には莫大な借金があるが、一方で、多額の資産もある、財政を資産・負債の全体像で見るという視点が抜けています。
    2. その2は、日本経済全体の中で見るという視点です。日本経済全体の中で、政府の借金をどう位置づけたらいいか、日本経済に政府の借金をまかなえる力があるかどうか、それを見る、という視点が抜けています。
●財政赤字の弊害論−その多くは杷憂
  • 財政赤字を、@日本政府のバランスシート全体、そしてA日本経済全体の中で見るとどういうことが言えるでしょうか。
  • まず、@政府のバランスシート(図1)は、960兆円の負債に対して1018兆円の資産があり、差し引き正味資産が58兆円あるというのが2005年末の政府のバランスシートです。このバランスシートから幾つかのことが言えます。
  1. 1つは、借金の返済負担が大変だ、子や孫の世代に負担をかける、世代間の不公平だという話を政府はしています。しかし、確かに960兆円の借金を残しますが、同時に1000兆円余りの資産も残すということです。ネツトでは58兆円の資産を残す、という状況ですから世代問の不公平という考え方は違うのではないでしょうか。
  2. もう1つ一言えることは、借金の960兆円は慌てて返す必要はないということです。このままの状態がずっと続いていても、これはこれでよろしいということです。もちろん、10年ものの国債は10年目が来たらその持ち主にお金を返さなければなりません。ただし、同じだけのお金を別の人から借りて(新しい国債を発行して)、借金残高をそのまま維持する分にはそんなに問題はありません。

  • 次に、A日本経済全体の中で政府の借金を見たらどういうことが一言えるでしょうか(表1)。
    1. 2005年末で見ますと、政府部門の金融資産残高は538兆円、負債残高は960兆円です。差し引き422兆円が政府に足りないお金です。
    2. 一方、家計部門を見ますと、金磁資産残高が1549兆円あります。銀行預金、郵便貯金、保険の掛け金、株、投資信託その他、諸々の金融資産を足し上げたものです。家計には住宅ローンその他で借金が381兆円あるのですが、差し引き1168兆円が余っています。さらに、財団とか社団法人とか、資産を持っている団体に43兆円の資金が余っています。これらを借りているのが、企業部門。企業が商売するのに足りないお金、609兆円、それから政府が422兆円、これだけ借りています。
表1 経済部門別に見た資金化不足(2005年末) 財務省資料より著者作成
金融資産残高 負債残高 差引資産余剰 差引資産不足 対外純資産残高
 家計部門  1,549兆円 381兆円 1,168兆円
 企業部門  895兆円 1,504兆円 609兆円
 政治部門  538兆円 960兆円 422兆円
 その他(非営利団体等) 43兆円
 日本全体  1,211兆円 1,031兆円 180兆円

  • 差し引きしますと、日本全体で合せて180兆円お金が余っているという計算になります。政府にはお金が足りないけれども国内にはお金が余っているのです。国内には余ったお金がいっぱいあるわけですから、政府が借金を増やしたら金利が上がりますという話には現実性がありません。国債を発行すればそれが売れるということです。
  • 政府のバランスシートで見ても、国全体の資金の状況から見ても、日本の財政赤字の状況は、今はまだ耐えられる状態で、当面、特に大きな問題は起こらないと考えていただいてよいと思います。

●小泉・安倍そして福田内閣の計面する財政再建政策
  • 目標−2011年度の基礎的財政収支を黒字化する
    • 政府自体も、口では財政赤字が大変だ、大変だと宣伝しているのですが、実は今の赤字残高自体はそんなに問題にしなくてもいいと分かっているのです。
      • 小泉内閣以来、安倍さん、そして福田さんも「2011年度の基礎的財政収支を黒字にする」という財政再建目標を掲げています。これは借金を減らすという目標ではありません。毎年の赤字をある程度の幅に抑えるという計画で、この計画を達成した後でも借金残高は増え続けるという計画です。
    • もっとも、この目標でもそれを達成するのは相当に難しいという状況です。この目標を達成するために何をやるか。方法は2つしかありません。1つは政府の支出=歳出を減らすこと、もう1つは税収を増やすことです。
      1. 歳出削減については、小泉内閣の時に14兆円ないし11兆円余り歳出を削るという計画を立てました。
      2. 増税については、先般、経済財政諮問会議が、14兆円ないし11兆円歳出カットをするという前提で、基礎的財政収支の黒字化のためにどれだけ増税しなければいけないか、という試算をしています。いろいろなケースで試算していますが、結論は最大6兆円ぐらいの増税が必要だというものです。
        
  • 政府の計画の間題点
    • 基礎的財政収支を黒字にするという政府の目標はいいだろうと思います。その目標はいいのですが、
      1. その手段として政府が考えている14兆円ないし11兆円の歳出削減を、社会保障費の削減を中心に実施する=小さな政府を実現する、という政策には大いに問題があると考えます。
      2. それからもう1つ、5兆、6兆円の増税が必要だとしても、それを消費税で賄おうと考えていることにも問題があります。
●具体的な間題点@=医療費などの歳出削減
  • 政府は、14兆円ないし11兆円の歳出カットを何でするのでしょうか。
  • 主だったものとしては、生活保護制度の見直し、介護保険制度の見直し、医療保険制度の見直し、公務員の削減と給与の引き下げ、等々のことを考えています。すべて国民生活に密着するものです。人々の暮らしに必要なサービスをどんどん削っていく、人々の生活をもっと厳しい状態に追い込んでいくというものです。
  • 削減のターゲツトの1つに、医療費があげられています。国民が使っている医療費を見ますと、総額で見ても、1人あたりを見ても、先進国の中で日本は非常に医療費の支出が少ない国です(表2)。
  • 高齢化した国であり、医療費はもっと多くても、もっと増えても当然であろうと思います。なぜこれだけ少なくて済んでいるのか。その大きな要因の1つは、医療関係の方に負担がかかっているのです(図2)。
  • ベッドあたりの医師数や看護職員数は、他の先進国に比べて日本が圧倒的に少ない。医師や看護師などが大変忙しいという中で、医療費の少なさが支えられているという面があると思います。
  • こういう状態で、しかもこれから医療費は増えて当然なのを、政府の政策で抑えるわけですから、医療サービスが、そして人々の暮らしがどんどんひどい方向に行くと予想されます。行く末は、サッチャー政権の政策のもと、医療システムが貧困化したイギリス化か、医療費がばか高くて、お金のある人だけが治療を受けられ、貧しい人が医療から排除されるというアメリカ化か、このままではそうした道を日本はたどるかと思われます。

●具体的な間題点A=増税−頼りは消費税増税
  • まだ政府ははっきりと方針を示していませんが、増税については、消費税増税を考えているようです。ただ、消費税を増税することには多くの問題があります。
    1. 1つは、逆進性、不公平の問題があります。所得の多い人ほど負担が少なく、少ない人ほど負担が重い、というのが消費税です。弱い者イジメの税で、税率が2ケタになると、負担率の差はますます広がる、という問題があります。
    2. もう1つ、中小零細企業は税を買い手に転嫁できず自分で被らざるを得ない、中小零細企業にとっては大変な負担となる税である、という問題があります。この点でも、消費税は弱い者イジメの税です。
    3. さらに、もう1つの大きな問題が、景気へのマイナス効果が非常に大きいということです。97年に景気が急速に悪くなったのは、消費税の3%から5%へのわずか2%の引き上げが原因です。消費が大きく落ち込み、景気が大変な打撃を受けました。
●財政赤字にどう対処するか−景気回復、ムダを省く
  • 大変な財政赤字を解決するために何をしなければいけないか。結論を申し上げますと、
    1. まず1つ目は景気を本当によくすることです。家計が本当に潤うような状態にもっていけば景気はもっと良くなり、税収が増えます。逆に、例えば消費税を増税したら景気は悪くなり、財政再建自体が危うくなります。
    2. 2つ目は歳出の無駄を省くことです。歳出の面では、本来は削っていい代表的な歳出は軍事費です。5兆円近くのお金は大変な無駄遣いです。軍事費をカットすることによってお金を浮かす。それに加えて不要な公共事業を削ってお金を浮かす、ということが必要です。
  • しかし、基礎的財政収支を黒字化するに必要と見られるおよそ16兆円のお金をそれだけで賄うのは不可能です。負担を増やすことを考える必要があります。
●税の大原則=負担能力に応じた負担を
  • 3つ目は増税ということですが、税金の一番大切な原則は、負担能力のある人に能力に応じて負担してもらうことです。大企業や高額所得者、資産所得者に負担してもらうことが重要です。
  • 法人税率はかつては40%を越えていたのが、今は30%に引き下げられています。その結果どういうことが起こったか。企業は2006年度に54兆円の利益を上げていますが、納めた法人税は15兆円です。20年前の1987年度、その年の経常利益は28兆円でしたが、納めた法人税は16兆円でした。税率を40%に戻せば、5兆、6兆円の増収になります(図3)。(⇒ こちらも)
  • 所得税の最高税率を引き上げることも可能です。1986〜87年頃の最高税率、所得税は70%、住民税と台わせると88%でした。今の最高税率は、台算して50%です。大変な減税になっています。いきなり昔の88%にまで戻せと言わないまでも、中間段階の65%程度、今より10%から15%は最高税率を上げてもいい。
  • 株式の譲渡益、配当に対する課税を強めることも可能です。今の税率は10%です。株でいくら儲けても10%税金を払えばそれで終わりという税制になっています。アメリカ、イギリスなどを見ますと総合課税です。株で儲けた分を他の所得と合算して税金をかける仕組みです。株で儲けるような人は勤労所得なども相当多いでしょう。それに株式所得を合算するわけですから、高い税率がかかることになります。ちなみに配当も同じでして、日本は配当についても10%の課税になっています。他の国はほとんど総合課税です。
  • なかなか消費税の引き上げができないので、政府は社会保障の削減か消費税の増税かという選択肢を打ち出して、国民に選択させようとしています。社会保障を諦めますか、消費税増税を認めますかと選択を迫ろうとしていますが、これはまったく筋の通らない選択のさせ方です。
  • 社会保障支出は増える、必要なものは必要なのだから仕方がないという前提で、軍事費を削るか、消費税を上げるかという選択肢もあるわけです。法人税増税か、消費税増税かという選択肢もあります。
  • そういう中で、社会保障削減か消費税増税かという選択肢を提示すること自体が非常に問違った発想です。その論争にのって消費税増税は仕方がないとか、社会保障を我慢しようとならないように、ことの本質をよく見極めてかからなければいけないと思います。(⇒ こちらも)





論文:医療改革-希望の芽の拡大と財源選択」(二木立氏)より抜粋:
  1. 公的医療費増加の財源選択・・・3つの立場
    1. 医療費抑制政策を転換する上で不可欠なことは、医療費増加の財源についての国民合意を得ることである。この点でも一歩前進はある。それは、小泉内閣時に猛威を振るった、経済財政諮問会議・規制改革会議等の患者負担拡大論が失速したことである。宮島俊彦総括審議官も、「患者負担の拡大であるが、これはもう限界である。(中略)混合診療や保険免責は医療の崩壊の加速につながり、取り得ない」と断言している(上掲論文)。
    2. しかし、公的医療費増加の財源選択については論争が続いており、国民合意には程遠い。主な主張は次の3つにまとめられる。
      1. 第1に、全国紙はすべて「社説」で消費税引き上げを主張しており、医療政策の専門家以外の研究者も同様である。社会保障国民会議でも消費税一本槍の議論が続けられている。
      2. 第2は、歳出の無駄削減による医療費財源の捻出論であり、まじめな医療関係者の間で根強い支持がある。
      3. 第3は、社会保険料の引き上げを主財源とする主張であり、医療政策の専門家の大半がこれを支持している。最近では、権丈善一氏(「社会保障関係者、2008年の選択」『週刊社会保障』2008年1月7日号)や、田中滋氏(「新自由主義への流れが止まったが」『月刊/保険診療』2008年2月号)が主張している。厚生労働省幹部も、最近ではこの立場(「保険料路線」)を鮮明にしている(上掲宮島論文)。
    3. 私自身も第3の立場であり、主財源は社会保険料の引き上げ、補助的にたばこ税、所得税・企業課税、消費税の引き上げも用いるべきだと考えている。
      1. ただし、社会保険料の引き上げと標準報酬月額の引き上げは組合健保、政管健保等の被用者保険に限定し、それが困難な国民健康保険と後期高齢者医療制度には国庫負担を増額すべきである。社会保険料引き上げに対しては必ず、「国民健康保険は、いまでも保険料を払えない人が多く、限界に近い」との反論が出されるが、この主張は被用者保険の存在を見落としている。田中滋氏が明快に指摘しているように、「低所得者への配慮は当然であり、かつ可能ですが、ゆえに全体の負担増はいけないとの論理はつながっていません」(前掲論文)。
    4. 私が第3の立場を支持する理由は2つある。
      1. 1つは経済的理由で、日本の社会保険料水準(特に企業負担分)が他の社会保険方式の国よりも相当低いことである。アメリカ企業の社会保険料水準は日本より低いが、アメリカの(大)企業が負担している民間医療保険料は日本よりはるかに高額である。しかも、正規雇用の拡大の動きなど、最近の雇用問題の潮目の変化は社会保険料財源拡大の追い風になっている。
      2. もう1つの理由は政治的理由で、現行の制度・政策の下では、消費税の引き上げの大半は、年金の国庫負担率引き上げや少子化対策に使われ、医療費増加の主財源にはならないからである。しかも、現在の「ねじれ国会」では消費税の引き上げを早期に行うのは困難である。それに比べ、社会保険料の引き上げは相対的に容易であり、現に2008年度予算では、保険料の引き上げにつながる健康保険組合等からの拠出金により、社会保障費の当然増分2200億円の抑制の半分が捻出された。
        
  2. 歳出の無駄の削減は主財源にはならない
    1. ここで、第2の立場(歳出の無駄の削減)について簡単に述べておきたい。実はこれには2種類ある。1つは公共事業費の削減、もう1つは軍事費の削減である。私はこれら両方に賛成であるが、それを医療費増加の主財源とすることは不可能である。
      1. まず、公共事業費についていえば、それの財政規模(対GDP比)が欧米諸国の2倍の6%前後だったのは1990年代までであり、小泉内閣時代に急激に削減された結果、現在は4%を切り、日本の突出は収束している(上掲権丈論文)。そのために、今後、公共事業費を連続的に大幅削減することは困難であり、ましてやそれを医療費増加の主財源にすることはできない。
      2. 次に軍事費の対GDP比は1%にすぎず、それを大幅に削減しても医療費増加の主財源にはなりえないし、そのような主張をする政党(共産党と社民党)は国会内で圧倒的少数派であり、少なくとも短期的には実現可能性がない。
      3. 歳出の無駄はこれ以外にもいろいろあるが、主要先進国中最悪である日本の財政赤字を考慮すると、無駄の削減により捻出された財源は財政健全化に優先して用いるべきである。
    2. ここで見落としてならないことは、日本は、どの尺度(一般政府の支出規模の対GDP比、国民負担率、人口千人当たり公務員数)をとっても、アメリカと並ぶ「小さな政府」であるため、歳出の無駄による大幅な財源捻出は困難なことである。なお、国家財政に多額の「埋蔵金」があるとの俗説の誤りは、権丈論文が詳細に示しているので参照されたい。(⇒下記抜粋もご参照下さい。)

北沢栄の「さらばニッポン官僚社会」より
税収の半分が公務員の人件費
  • だが、スリム化の柱となる国家公務員の定員数(自衛官、国有林野事業などの現業職員を除く、中央省庁勤務の約33万人)について掲げた05年度から5年間に04年度末比で「10%以上削減」の目標数字は、定年退職者などの削減数を積算するだけで、増員分は入らない。増員分と合算して初めて「純減数」が出るが、肝心の「純減」の目標さえ設定していない。定員管理対象が国家および地方公務員全体(約430万人)の8%にも満たないうえ、定員削減数は「純減」ではないのだ。
  • しかも、独立行政法人への移籍者は削減数に含まれる。早期退職を促して特殊法人や所管の公益法人に天下りさせる場合も、むろん削減数にカウントされる。
  • ということは、純減どころか官業への天下り・移籍分を含めれば、税金で養う職員の数は実質「純増」になり得るのだ。計算上は削減数から増員数を差し引いた05年度の純減数は600人余りとわずか0.2%。だが、この純減分の中には独立行政法人などに籍を移した者や特殊法人などへの天下り組も入るため、実質は減っていないかむしろ増えている、と考えてよい。
  • 官はこうした数字のトリックを限定した範囲で使って、いかにも公務員の数を減らしているかのように見せかけているのである。
      
  • このように、政府のスリム化実現の見通しはつかないまま、公務員人件費は異様に膨れ上がった。財務省と総務省によれば、国と地方を合わせた05年度税収見込みは77兆3259億円。これに対し総定員法(行政機関の職員の定員に関する法律)が対象とする中央省庁の国家公務員(約33万人)の総人件費(月給のほか諸手当、退職金を含む)が年間5兆4774億円、地方公務員(約320万人)が同22兆2885億円の計27兆7659億円(04年度予算)。
     これだと対象公務員の税収に対する人件費比率は36%だ。ところが、国家公務員を自衛官や日本郵政公社職員(それぞれ約28万人と約29万人=03年度末)などを加えた総数の約110万人ベースでみると、地方公務員のと合わせた公務員の総人件費は、複数の官庁筋によれば40兆円近くにも上る。
     そうなると、国と地方を合わせた税収の実に50%に達する。国民の納めた税金の半分が、公務員の人件費に費やされることになる。
  • しかも、特殊法人や認可法人の準公務員や独立行政法人の職員の場合も、国の予算で人件費を支給しているから、これを足すと同人件費比率はさらに跳ね上がる。加えて、行政から事業の委託を受ける公益法人や地方の第三セクターの多くで、職員の人件費が補助金の形で賄われている。政府とその傘下にすそ野のように広がる政府関係法人の職員の人件費が、国税と地方税の半分を吸い上げるのだ。
「霞ヶ関埋蔵金」のありか
  • 中川氏の公式ウェブサイト「埋蔵金『実在』に関するメモ」によると、特会の積立金210.7兆円(2005年度決算ベース)のうち、年金や雇用・労災保険などの保険料計約160兆円は将来の給付のため取り崩せないが、残り50兆円相当は「埋蔵金」として取り崩せるという。そして、この埋蔵金の中でも財政融資資金特別会計(財投特会)と、外国為替資金特別会計(外為特会)にそれぞれ20兆円前後の積立金・剰余金(歳入から歳出を差し引いた余剰金)がある、としてその活用を主張したのだ。
     この結果、08年度政府予算案で、国債返済用に財投特会から積立金9.8兆円を取り崩すほか、外為特会など4特会の剰余金から一般財源用に1.9兆円を一般会計に繰り入れることが決まった。総額11.7兆円が、活用されることとなったのである。
  • 会計検査院によると、1995年以降、消費税の4%分に相当する10兆円をゆうに超える不用額が毎年発生し、調査最新時の04年度は消費税4.2%分に相当する10兆6000億円近くに上った。このことは、現行の特会制度が温存される限り、使い切れずに余る毎年10兆円超のカネを継続的に一般財源や国債返済に回せることを意味する。
     しかも、こうしたカネ余り特会のうち、3年連続で不用額が100億円以上に上る特会は「18会計」もある。この中で、歳出予算額に占める不用額の比率「不用率」が10%以上の特会は8会計を数える
  • 不用額は、積立金や一般会計への繰り入れなどとして処理されるが、なかには会計検査院が処理法を把握できないケースもあった。借金漬けの一般会計に対し、特別会計のカネは不透明なうえにダブついているのだ。
     こうしてみると、財政健全化と年金財源確保に向け、政治は国民負担を強いる消費増税の前に、特会の情報公開とその余剰資金の継続的な徹底活用を考えなければならない。

消費税の増税は必要か・・・、(全保連の院内ニュースNo.41号:08/8より)

脱「医療費亡国論」の要旨: ⇒参照元:(1)(2)(3)(4)(5)
  • 根拠の無い俗説:
    1. 高齢化で医療費はどんどん膨張する:
      • 2006〜2007年に開かれた厚生労働省の「医療費の将来見通しに関する検討会」に参加した医療経済学の専門家からは、この“常識”とは正反対の内容が語られた。
        1. 「(医療費増に)高齢化の影響はほとんどない」、「医療費は野放図には伸びない」
        2. 厚労省の担当課長すら「医療費の自然増の最大の要因は、(高価な薬や機器、治療手段が開発される)医療の進歩であることは明白だ」と明言した。
        3. 委員の権丈善一慶応大教授は、「医療経済の世界では当たり前の話」として、「高齢化が医療費を増やすように見えるのは見掛けの関係で、医療費の増加率は国民所得の増加率で決まる」という米国の医療経済学者ゲッツェンの研究を紹介。「この関係はどの国でも成立する。医療費の額は結局、社会のパイの中からどれだけ使うかという政治的な判断、つまり医療への政策スタンスで決まっている」と解説。実際、日本は先進7カ国で最も高齢化率が高いが、国内総生産(GDP)比でみた医療費は最も少ない。
    2. 終末期医療もよく医療費増の一因:
      • 日本福祉大の二木立教授は「根拠はない」と話す。厚労省が2002年に死亡した人を対象に、死亡前1カ月間の医療費を計算すると、約9,000億円との結果で、国民医療費の約3%に過ぎなかった。同教授は「そもそも日本の医療費がアメリカに比べて少ない理由の一つに、終末期医療の医療費の少なさがある」と指摘。
    3. 風邪など軽い病気は保険の対象から外し、重い病気に財源を回すべき:
      • 二木教授は「患者の8割は軽い病気だが、使っている医療費は全体の2割に過ぎず、医療費削減効果は小さい。何より8割の患者が使えない保険では意味がない」と指摘。
    4. このままでは2025年度の国民医療費が現在の倍の65兆円になる:
      • 権丈教授は「来年の100円なら何が買えるか想像できるが、20年後の100円で買える物は想像できない。単位が兆になると、みんなそんな単純なことを忘れてしまう」、「推計名目額の大きさを基に議論しても意味がない。国民所得の中のどれぐらいを医療に充てるのかを議論すべきだ」と指摘する。
      • 2025年度の65兆円は国民所得の12〜13.2%と推計されるが、2004年度でも医療費は国民所得の8.9%。経済成長で国の「財布」の大きさも変わる為、名目額は倍増でも実質額はそれほど増えない。
          
  • 民間保険について:
    1. 2008年2月に開かれた政府の社会保障国民会議の分科会。
      1. 同会議の吉川洋座長は、医療費の増加に対応する為、公的保険でカバーする範囲を制限し、個人が加入する民間保険で補うことも検討すべきだ、との考えを示した。
        • 実際、現状でも民間保険に加入する人は増えている。生命保険協会によると、2007年度の医療保険やがん保険、傷害保険の個人契約件数は約3,704万件で、5年前に比べて約3割増加。これらの民間保険の2007年度の契約金額は計約8兆2,325億円に達する。
      2. これに対し、社会保障政策に詳しい松山幸弘・千葉商科大大学院客員教授は「民間保険の役割拡大というのは間違いだ」と真っ向から反論。民間保険は誰もが入れる訳では無い。「病気を持っている人は一番の弱者だが、こうした人たちは民間保険に入れない。低所得の人も同様だ。例え入れても、完治するまで給付してくれるとは限らない。医療は生命にかかわる最も重要なセーフティーネット。困った弱者が救済されるような公的保険の仕組みこそ作るべき。」
           
  • 検査重複、薬は過剰:
    1. 日本と同様の低医療費政策を続けた結果、医療が崩壊した英国では2000年、ブレア政権が医療費の1.5倍増を打ち出した。しかも、単に増やすだけではなく、国立最適医療研究所(NICE)などを設置し、効率性も追求する仕組みにした。
      1. 2005年3月、その英国から大手製薬会社エーザイ(東京都文京区)に、同社のアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」について、NICEが軽度の患者への使用制限を打診してきた。
      2. アリセプトは1997年に発売。アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる効果があり、この分野では世界トップシェアを誇る。2007年には世界で2,910億円を売り上げ、同社の主力商品の一つだ。
      3. 同社側は効果のデータを出したが、NICEは2006年に発行した治療指針で「軽度の患者に対しては費用対効果が十分ではない」と、新規の軽度の患者には英国の公的医療制度であるNHSでの使用を認めないことにした。同社側は英国の裁判所に指針作成プロセスの開示を求め、主張が認められたが、現在は開示待ちの段階で、使用制限は継続している。
    2. 日本には、英国ほど厳しく費用対効果を追求する仕組みはない。
      1. インフルエンザ治療薬「タミフル」。症状発現から2日以内に使えば1日程度早く回復させる効果があるが、インフルエンザの多くは自然治癒する。医師向けの文書には「すべての患者に必須ではないことを踏まえ、患者の状態を観察し、使用の必要性を慎重に検討すること」とあるが、2001〜2005年に日本で処方されたタミフルは、全世界の使用量の7〜8割を占めた。
          
  • 経済波及効果:
    1. 医療にはどの程度の経済波及効果があるのか。国の10府省庁は5年ごとに、産業各部門間の経済取引の関係をまとめた「産業連関表」を作成している。宮澤健一・一橋大名誉教授(経済学)らは、2000年の産業連関表の基礎データを基に、全産業を医療や介護をはじめ、農林水産業、公共事業、運輸など56分野に再編成した連関表を独自に作成し、ある分野に投入した費用が他分野の生産や雇用にどれだけ波及するのか等を分析した。
      1. 生産増は所得増を呼び、消費につながって生産を増やすという形で経済波及効果は拡大していく。連鎖的な波及効果まで含めた「生産誘発係数」を求めたところ、医療は約4.3で、公共事業の約4.1を上回った。「4.3」とは医療に1兆円を投入すると、他分野で3.3兆円の生産を誘発することを示す数字。
    2. 景気対策としての公共事業に賛成する意見がある一方で、医療費については「社会の重荷」なので少ない方が良いという考え方が一般的だが、宮澤名誉教授「医療は財政にマイナスのように言われるが、決してそうではない。公共事業を上回る経済波及効果がある」と指摘。
        
  • 社会ビジョン:
    1. 社会保障財源をどう賄うのか。神野直彦・東京大教授(財政学)は、先進各国の状況を三つに分類する。(⇒こちらも)
      1. 米国に代表される「最低限保障責任国家
        1. 最低限の生活は保障しようという政府。そのためには所得再分配が必要なので、豊かな人に掛ける税金のウエートが高くなる。つまり、累進的な所得税のウエートが大きい。ただし、中間層を中心に無保険者が約4,700万人も居るという問題を生んでいる。
      2. ドイツやフランスのような「相互扶助的な国家
        1. お互いに負担しあい、病気になったときは助け合おうという考え方で、社会保険料などの社会保障負担率が大きいという特徴がある。
      3. スウェーデンにみられる「標準を保障する国家
        1. 貧しい人も含め、所得税も消費税も社会保障負担率も大きいが、税を払っていれば生きていける社会。
    2. 日本はどうか。
      1. 神野教授は「無責任国家」と分類する。
        1. 所得税が殆ど累進課税になっていない上、企業の負担も少ない。どういう社会を作ろうとしているのか、というビジョンが無い。スウェーデン政府は「強い福祉を打ち出す為に財政再建する」という。日本は福祉を切り捨て財政再建しようとするが、財政は人々の生活を守る為にある。
    3. 「医療費亡国論」は「このままいけば、租税・社会保障負担が増大し、日本社会の活力が失われるのではないか」と指摘した。
      1. しかし、日本は2005年、租税負担率と社会保障負担率を合わせた国民負担率が38.3%で、経済成長率は2.6%だった。スウェーデンは同年、国民負担率が70.7%で、経済成長率は2.9%。国民負担率と経済成長率に明確な関係は見られない。
    4. 社会保障財源を巡る議論が本格化しているが、「医療費亡国論」に縛られる根拠は見当たらない。

各国の比較:
  1. 実績もあり評価も高いが、医療費も高いフランス
  2. 医療費は低いが評価はそこそこ、実績にまだ難があるイギリス
  3. 実績も評価も低いが、医療費は高いドイツ
  4. 実績も評価も低く、医療費は高いアメリカ
  5. そして、実績もあり評価も高いが、医療費は低い日本・・・しかし、此の侭、「医療費亡国論」の呪縛から脱皮できなければ、どうなるかワカラナイ。

 
<主張>改めて「消費税」を考える (東京保険医新聞 第1535号より)

■消費税「非課税」がもたらす税制のゆがみ

 消費税の課税方法は、「課税」「不課税」「非諌言「免税」の4種類に分けられる。一般の物やサービスに対する「課税」。現在、日本では品目に関係なく一律5%となっている。給与・賞与やご祝儀に対する「不課税」。対価を得ない取り引きとして、消費税の課税対象外となっている。
 ややこしいのは「非課税」と「免税」だ。「非課税」は、課税の対象としてなじまないものや、社会政策的配慮から、「課税しない」と定められた品目である。「免税」は、輸出上の売り上げに対するもので、「課税」取り引きだが、税率は「ゼロ%」ということを意味している。二つの大きな違いは、「非課税」は課税取り引きではないが、「免税」は課税取り引きである、という点である。
 「非課税」である保険診療において、医療機関は患者から消費税を取ることができない。しかし、患者への医療を供するための薬・材料、機材等を購入する際には、課税取り引きとしていずれも消費税を払っている。支払った消費税は払いっぱなしとなり、税率が高ければ高いほど、医療機関にとっては「持ち出し」となる。いわゆる医療機関の「損税」負担であり、「医療の最終消費者=医原機関」という構図を生み出している。
 国は、医療機関が払う消費税分について「診療報酬で手当てしている」と言い張るが、全点数に一律5%上乗せしているわけでも、初再診料に重点配分されているわけでもない。診療報酬上のどこに「手当て」が含まれるのか、医療機関の「損税」が増え続ける事態を前に、国は未だ納得行く説明をしていない。
 輸出業者の場合は、「免税(ゼロ%課税)」取り引きにあたるとされ、仕入れ時に負担した消費税を還付してもらえる仕組みがある。税率がどんなに上がっても、支払った税金は返ってくる。輸出に力を入れる財界が消費税増税をこぞって歓迎するのも、ちともとトヨタなどが消費税を1円も負担していないからだ。

■消費税「非課税」の あり力を見直せ〜―改めて「ゼロ税率」導入を求める〜
 消費税は、制度そのものが欠陥だらけで、問題は医療機関の損税ばかりにとどまらない。年齢・所得格差に関係なく生活必需品にまで定率で課税されるため、一般市民の生活を圧迫するのは至極当然である。増税法案成立直後の世論調査でも、増税「賛成」42.2%に対して「反対」56.2%と、未だ過半数の国民が一消費税増税を認めていない(共同通信社調べ)。多くの国民は「税と社会保障の一体改革」の本質を見抜いているのだ。
 保険医協会では、@消費税増税に反対し、A医療機関の「損税」解消と、B「ゼロ税率」の適用を求めて声を上げてきた。だが、ABについては、「非課税」と「免税」の違いや、「ゼロ税率」という言葉の意味が分かりづらく、理解を得にくいとの指摘もいただいた。また、病院団体からは、「損税」は患者負担に転嫁すべき、との意見も出されている。
 しかし、消費税増税の最終局面にあたり、いま、保険医協会として改めて訴えたいのは、@厳しい生活に追い込まれている国民をさらに苦しめる消費税増税を中止すること。そして、A患者負担を強いずに医療機関の「損税」を解消するために、保険診療等を非課税項目から外し、「課税」へ戻した上で、税率=ゼロ%として損税分を医療機関に還付する「ゼロ税率」を適用すること、以上2点の実現を強く求めたい。