「もうひとつのツール」
平成17年1月 荒川医院 安藤潔
日本臨床内科医会会誌 ITコーナー 原稿

インターネットは時空を超えるツール、と言われます。これを最も実感するのは、日常診療での診療連携や医師会活動などに利用する時です。今回はその実際につき、少し触れてみようと思います。

1)電子メール:
手紙では時間が掛かる、電話は相手の仕事を邪魔するし、会話の記録も残らない、FAXは便利だけど不特定多数の目に触れる・・・といった場合、とても便利なのが電子メールです。

個人宛に送信でき、相手も都合の良い時に読める。ワンクリックで返信用メールを開いて本文を書けば、ワンクリックで確実に相手に返信でき、住所録へのアドレス登録もツークリックで済む。お互いの仕事を邪魔せず、手順も恐ろしく簡単で、これら全ての記録がタイムカード付きで保存される。また、受信したメールを差出人名、タイトル名などで自動分別し、未読と既読のメールの表示色を変えられるので、相手ごとにいちいち仕分けする必要も無く、同じメールを二度読みしたり、大事なメールを読み忘れたりすることもまず無い、といった具合です。勿論、メールを頻用する筆者も、急ぐ時はFAX、緊急時は電話、と”適材適所”は言うまでもありません。

さて、FAXでも複数の送信先に同じものを一度に配信する機能がありますが、メールにも類似の(しかも双方向性にやり取りできる)機能があり、これをメーリングリスト(ML)と呼びます。事前にMLへ参加者のメール・アドレスを登録しておけば、そのMLのアドレスへ送信したメールが参加者全員に同時配信されるシステムです。加えてインターネットをしない方々にもメールをFAXで同時配信するサービスもあり、メールとFAXの利用者が混在する場合、全員に一斉通知する場合には非常に便利です。

このように便利なメールにも欠点があります。例えば返信の際、ワンクリックで相手アドレスが宛先欄に自動入力されるので、MLからの配信にうっかり返信すると、個人宛に書いたつもりのメールがたったワンクリックで何千人もの人たちに配信されてしまう、などという事態も起こります。一度、送信ボタンを押してしまったら、もうやり直しは効きません。送信ボタンを押す際には、送信先アドレスを良く確認することが大切です。

また、お互いの表情を見ることなく文字だけでやり取りするメールでは、フレームと呼ばれる激しい罵り合いなどに陥ることがあります。読み手の気持ちを考えて書くのは勿論、腹が立っている時、イライラしている時、酔っている時などは返事を書いても直ぐ送信せず、翌朝、読み直してから送信ボタンを押す、という慎重さが必要です。

2)ホームページ:
様々な情報を整理整頓し、大勢で常時、共有するにはホームページ(HP)が有用で、現在、この簡便な日記タイプとも言えるブログ(Blog)が大人気です。

HP開設には、1)ページを作るソフト、2)ページを預けるサーバ、3)ページをサーバに預ける為のソフトが必要です。筆者は1)としてHPビルダーを使っていますが、凝ったページを作ろうとしなければ、その操作も簡単で、2)は相当量のページを預けられるレンタル・サーバを利用、これらの費用はポケットマネー程度です。3)は無料のFTPをダウンロードして使っています。

公開HPでは、如何に大勢に見て貰えるか、に腐心しますが、非公開HPでは逆に、自動検索に引っ掛からぬような設定と、メンバーだけに通知するパスワードを設定します。しかし、パスワードを忘れた、いちいちの入力が面倒臭い、など不便もあり、筆者は会員名簿などを除けば、URL(HPの固有アドレス)を他へ漏らさぬように周知、で済ませています。

HP作成に挑戦してみると、案外、簡単に様々なことが出来ることに驚きます。そしてつい欲張ってしまいがちですが、そのHPを見る方々の環境もまた、様々であることを忘れてはなりません。写真など大容量の侭で掲載してしまうと、回線が遅い閲覧者はなかなか画像が開かずにイライラしますし、頻回に参照するようなページでは余計な装飾は却って速やかな閲覧を妨げます。

3)実際の運用:
医師会のIT化が叫ばれて久しく、筆者が所属する地区医師会でも、役員は全員、委員の大半がインターネット環境を持つに至りました。そこで現在、医師会のは勿論、総務連絡会、理事会、各委員会などに専用HPを設け、各専用MLからの配信メールの文末(時には文頭)には夫々の専用HPのURLを自動付記しています。

現在、最も活用しているのは総務で、そのHPからは医師会に関連するほぼ全ての情報が得られ、毎日、MLで活発なやり取りをしています。従って会議当日は、文字だけでは物足りぬ部分に絞った突っ込んだ協議となります。会議中に過去の議事録を参照したり、様々な情報を検索することもでき、また、プロジェクターでそのHPを投影し、協議しながら随時、要約を書き込みますので、閉会時には凡その議事録要約が出来ています。欠席した役員もこのHPを閲覧することにより、会議の概略を把握でき、疑問点はMLで聞くことも容易です。また、縦割りになり易い組織を横断的に繋ぐには、夫々の専用HPに少し手を加えた連絡用HPを設け、互いにリンクしておくと便利です(図1)。

4)おわりに:
文字や静止画像のML&HPから、今や音声・動画の映像会議まで、インターネットによる協議や会議は時空を超え、人々を縦横無尽に繋ぐ可能性を秘めています。会わずに済ませよう、という発想ではなく、折角、会うのだから、その時間を如何に充実させるか、その為にこそ様々なツールを臨機応変に活用して幅広いやり取りをしよう、という発想が必要であり、そうした輪が広がって初めて、これからの社会に即応可能な組織となり得るのではないでしょうか。

参照サイト:
  1. HPビルダー:
    http://www.sourcenext.com/products/builder9/
  2. FTPクライアント:
    http://www.forest.impress.co.jp/lib/inet/servernt/ftp/

図1.さまざまな専用ホームページ