メディカルリーグ公式戦
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原 昌平 hara4142@yomiuri.com
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◆破綻しそうだけど、いちおう野球にしましょうか。

 シジョーズ(宮内投手)とドクターズ(坪井投手)が試合をしてる。ドクターズのチームワークはいまひとつで、ベテランの坪井投手はすっぽ抜けの球やボール球が続いたので、「本気で投げてるんかいな。交代したらどうや」と味方のオーサカ選手などからヤジを飛ばされ、えらく振りかぶって力んで投げてる。

 外野席に並んで見てるペイシャンツのチームはおとなしい。どっちを応援して良いかわからない。
 ドクターズは「うちが勝たんことには、ペイシャンツはリーグ戦で不利になる。シジョーズが優勝したら、値段の高いドーム球場ばかりで試合をして、地方球場なんか行かんようになる。弱小球団はどんどん切り捨てられて、一流以外の選手はすぐ首にされる。だから、うちを応援してくださいよ」と声を掛けるけど、なかなか手を振ってくれない。

 というのも、過去のドクターズとの試合で、ペイシャンツは、ドクターズの一部の選手から、反則のラフプレーや死球を受けた。それでもドクターズの選手は謝らなかったし、反則続出の選手にきつく注意しない。ホームベース上を通った球を打席で見逃しても「わしがボールだと思ったらボールなんや」と強硬に言い張り、審判をにらんで何度も認めさせた。公平なアウト・セーフの判定のためにビデオを活用しようという球界の主流意見にも強く抵抗している。
 今回のシジョーズとの連戦では、そこそこ点をとってAクラスをキープし、年俸さえキープできたらいいと思ってるんやないかとも勘ぐられてる。

 そんなわけで、ネット裏に陣取ったメディアンズのチームからも、少数精鋭で個人プレーに新鮮味のあるシジョーズへの応援が多い。
 シジョーズ球団は「強いチームがどんどん勝ちまくってこそ、野球のレベルが上がる。外国人選手を排除したり、金属バットを禁止したりしてるのも時代遅れだ。大リーグはそんなことしてない」と主張している。

 でも、メディアンズの補欠、原選手は「シジョーズが優勝するのは球界のためにならん。球界全体のレベルアップを考えてないから、中小都市が拠点のペイシャンツなどは潰れて、いずれ大リーグに吸収されてしまう」と思う。

 そこでネット裏の最下段から抜け出し、ドクターズベンチに行って、作戦にちょっかいを出した。
 「フォームは大振りやけど、ほんまに力を入れて球を投げてるんかいな。思い切って、ど真ん中へ豪速球を投げ込むか、フォークボールで勝負したらどうやろか? だいたい前の試合でも、むちゃなスライディングでペイシャンツの選手を怪我させたら、やっぱり謝らないかん。大方はドクターズも真面目な選手やと思うけど、反則を繰り返す一部の選手は、さっさと退場してもらおうや。ビデオを導入したら、判定で長いこともめずに済むんやから、はよう導入しようや。それに審判団の家へお歳暮を送ったりするから勘ぐられるんやで。やっぱりフェアプレーをしっかり見せんことには、人気は集まらんと思うし、球界全体の繁栄を考えるなら、たまに少年野球の指導もしたらどうかいな」

 ドクターズのベンチでは、うなずく選手もいたけれど、反発も多かった。
 「ど真ん中なんか、危なくて投げられるわけないやん。わしら本気で試合してるのに、あんたら、最初からシジョーズの連中の応援ばっかりしてるやないか。一つもわかってくれへん。反則するのはごく一握りの選手やのに、チーム全体を悪く言われるのはかなわん」
 「そもそも実態以上に金満球団と思ってるんやないの? 普通の選手は年棒安いのに、一生懸命練習してるんやで。ほんとの金満球団は、たとえばファーマズやないか。メディアンズの連中がネット裏の放送席から、『ドクターズは金満選手や』、『ボークやボークや』、『八百長や』と言いまくるから、みんなそう思うんや。シジョーズの天下が良くないことが何でわからんのや。どうせ、シジョーズに買収されてるんやろ。メディアンズこそ問題や」

 う〜ん、やっぱり構図にあちこち破綻をきたしました。この前まで人気抜群だった小泉選手をどう登場させたらいいかわからなくなったしーー。関西弁も多すぎましたか。(原)