医療と特区のページ
  • こちらは「医療特区シンポジウム」を考える為に、安藤@荒川医院が診療の合間にポチポチ、作っているページです。他にも興味深い資料・御意見などありましたら、是非、安藤@荒川医院まで御一報下さい。(^-^)ゞ
  1. 特区政策の経緯
  2. 構造改革特区推進の為のプログラム
  3. 総合規制改革会議の議事録より「医療」
  4. ブッシュ大統領による一般教書演説(03/1/28)より
  5. 日本医師会の意見&日医総研リサーチ
  6. 参考サイト・・・・ホントはドウナンダロIHSとIHN
●参考:「日本医事新報」No.4096,10月26日号より抜粋
A。特区政策の経緯
  1. 平成13年11月29日の「麻生提言」
    • 経済特区に加え「医療・福祉特区」、起業特区、農業特区などの創設を自民党の経済財源対策特命委員会に提言して検討を依頼。
    • 「医療・介護に関する規制を撤廃する」とし、更に「医療への企業参入」も明記。
    • 省庁・都道府県から提案続出:
      1. 平成14年2月14日:国土交通省「産業再生特区」、東京都の「カジノ特区」
      2. 同4月7日:大阪府「経済再生特区」
      3. 同5月15日:兵庫県「医療特区」
  2. 平成14年3月12日:総合規制改革会議が「規制改革特区」を平成14年度のテーマに決定。(参考:規制改革委員会
    • なかなか進まない規制改革に業を煮やし、特区という仕掛けを使って「一点突破、全面展開」に出る作戦。
    • 同3月15日:経済財政諮問会議で民間議員が「構造改革特区」を提言。
    • 同7月23日:総合規制改革会議が「中間とりまとめを決定。
      • 名称は「構造改革特区」だが、内実は規制緩和の為の特区であることが明確化。
      • 緩和すべき規制の選定基準として、「生命・身体・健康、公序良俗、消費者保護などに関する規制であるという理由によって対象外とすべきではなく、適切な代替措置等を講ずることが可能かどうかなどによって判断すべきである」とされた。
    • 同7月24日:総合科学技術会議でも「知的特区」を提案。
    • 同7月26日:内閣府に構造改革特区推進本部設置
  3. 平成14年7月23日の日医及び厚生労働省の記者会見
    • 青柳理事(日医):「実験をやって2,3人死んでも構わないと解釈できる」「営利原則がもたらすものは”命の値付け”や”最銭原則”だ」と強く批判。
      • 平成14年8月1日:日医の「医療に関連する規制改革特区対策委員会」発足。
          参考:第1回、第2回、第3回
    • 河幹夫参事官(厚生労働省):「総合規制改革会議の委員は株式会社の良い面しか強調しないが、我々は営利原則の悪い実例を数多く見ている」と規制改革には反対する一方、先端医療を進める構造改革特区には賛成。
  4. 平成14年9月6日:構造改革特区推進室が全国からの特区提案は全部で426件公表
    • 医療関連特区提案25件の大半は内閣府が7月26日に都道府県に対して行った説明会で「構想例」として提示していたもの。(「高度先端医療の推進」として、特定機能病院の要件緩和、特定病床の緩和、先端的治療に関する混合診療の容認、臨床修練制度の適応拡大などが列挙)
  5. 平成14年9月8日:自民党「構造改革特区推進に関する特命委員会」の「構造改革特区の為の提言」が公表。
    • 「高度医療特区」の内容は盛り込まれたものの、株式会社や混合診療の規制緩和は見送られた。
  6. 平成14年9月25日:構造改革特区推進室が特区に対する各省の回答公表
    • 厚生労働省は特養への株式会社参入を特区に限って一部認めたものの、医療に関して”ゼロ回答”を貫く。
  7. 平成14年9月26日:内閣官房構造改革特区推進室および総合規制改革会議により「構造改革特区に関する意見交換」が開催された。
    • 日医の櫻井秀也常任理事は,「経済の活性化のために,生命・身体・健康を犠牲にすることには断固反対する」と意見陳述を行った。
  8. 平成14年10月11日:構造改革特区推進本部が「構造改革特区推進の為のプログラム」を決定。
    • 株式会社問題などは見送られ、「医療特区」の実現はギリギリ回避
    • 閣議後厚生労働大臣記者会見概要
  9. 平成14年10月22日:第9回総合規制改革会議
    • 医療特区自体は認められていないが、例えば神戸市が望んでいた事項等については、全国対応ということで実質的に認められている。厚労省として、特区としては認めないが全国の特例としてある地域を認めるということであろうが、中身はほぼ同じことと考える。
  10. 平成14年11月1日:在日米国商工会議所のヘルスケア・サービス小委員会が「医療法人経営への株式会社参入実現を」を発表
    • 株式会社参入のメリット
      1. 資金確保のための選択肢の拡大。
      2. 民間企業の買取による医療法人の後継者問題の解消。
      3. 医師画質の高い医療の提供に専念できる為に必要な設備と施設の確保。
  11. 平成14年11月29日:
    1. 「平成15年度予算編成の基本方針」で医療制度改革継続
    2. 生活産業創出研究会の報告書
      1. 医療産業創出で4兆円規模の新規市場の効果があると試算。
      2. 保険診療と保険外診療の併用する余地拡大を提言。
  12. 平成15年1月20日:内閣府が構造改革特区の第2次提案の集計結果を公表。
    • 昨年11月8日から今年1月15日まで受け付けていたもの。
    • 412の提案主体(地方公共団体が248、民間事業者等が164)から計651件の特区構想が提案された。うち、医療に関するものは17件と集計(実際には40件前後)。
    • 注目されるのは長野県からの提案⇒株式会社参入、広告規制の撤廃、混合診療の解禁、病床規制の適用除外、外国人医師の活用など列記。同県衛生部医務課は「現在、受療者の立場に立った保健医療計画の見直しを進めており、この提案もその一環。あくまでも提案ベース」と説明。
B。構造改革特区推進プログラムに盛り込まれた主な規制緩和項目
  (全国一律で実施するもの)
  1. 特別医療法人の業務範囲の拡大
  2. 高度先進医療の病床特例の見直し:病床特例の回数制限を撤廃
  3. 高度先進医療制度の見直し
    • 医師主導の臨床研究を特定療養費制度に追加
    • 臨床研究以外の高度先進医療について、特定承認保険医療機関の承認要件や対象技術の範囲の見直し
  4. 臨床修練制度の弾力化
    • 教授を目的とした外国医師等に許可を与えることを明確化。許可条件の語学能力で英語以外を追加。許可の審査機関の短縮化。
  5. 遠隔医療の拡大:在宅緩和ケアやリハビリ指導などを、条件を設定した上で主治医の判断の下、必要に応じて可能に。
  6. 特定機能病院の要件緩和:病床数基準を緩和。
  7. 未承認薬などの利用自由化、侵襲性が低い新規医療器具や医薬品の本人承諾による迅速な使用
  8. 新しい医薬品・医療用具の審査における指定調査機関の要件緩和
●別表1 構造改革特区において実施することができる特例措置

○906
高齢者、身体障害者、知的障害者及び障害児に係るデイサービス事業の相互利用の容認。
@指定通所介護事業所を知的障害者が利用することの容認、
A老人等デイサービス事業所の障害児受け入れの容認)
(@関係)食堂及び機能訓練室の面積、職員数について指定通所介護の利用者数と知的障害者の利用者数の合算数で基準を満たしていること。
(A関係)障害児関係施設の技術的支援を受けること。厚生労働省

○907
特別養護老人ホームの設置主体及び経営主体として公設民営方式又はPFI 方式により株式会社を容認

●別表2 全国において実施することが時期、内容ともに明確な規制改革事項

○922 特別医療法人が行うことができる収益業務の拡大
特別医療法人について、業務範囲の拡大を行う。
平成15 年度中厚生労働省

○923 高度先進医療に係る病床の特例措置の回数制限の撤廃
現行では各施設とも1 回限りとされている高度先進医療に係る病床の特例措置の回数制限について、先端医療を推進するため特に必要があると認められる場合には撤廃する等の弾力的な運用を行う。平成14 年度中厚生労働省

○924高度先進医療制度の見直し
@特定療養費制度の対象の拡大
A「特定承認保険医療機関」の承認要件等の高度先進医療制度の見直し

@薬事法改正により、医師の主導により医薬品等を使用する臨床研究について、治験として取扱うこととなったことに伴い、特定療養費制度の適用対象とする。
A臨床研究以外の高度先進医療については、高度先進医療制度において、特定承認保険医療機関の承認要件や対象技術の範囲について見直しを行い、速やかに実施する。

○925
臨床修練について、医療に関する知識及び技能の修得に加え、これに付随して行われる教授を容認

・医療に関する知識及び技能の修得に加え、これに付随して行われる教授を目的として入国した外国医師等について、厚生労働大臣の許可を与えることを明確化する。(通知発出)
・臨床修練の許可条件となっている語学能力について、英語以外の言語を追加する。(省令改正)
・臨床修練の許可の審査期間の短縮を図る。(運用)

○926 対面診療が困難な場合以外の状況下での遠隔診療の適用情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠 隔診療」)について
(平成9 年12 月24 日健政発第1075 号)
対面診療が困難な場合(離島、へき地など)だけではなく、遠隔医療により適切な医療サー ビスが提供される場合(在宅の緩和ケア、リハビリテーション指導など)にも、対面診療を適切に組み合わせること等の条件を設定した上で、主治医の判断の下、必要に応じて遠隔診療を行うことを可能とする(通知改正)。

○927 特定機能病院の病床数基準の緩和医療法施行規則第6 条の5 現行500床とされている病床数基準の緩和を行う。平成15 年度中厚生労働省

○928 未承認薬、欧米認可薬剤の利用の自由化
薬事法第14 条第1 項、第3 項、第23 条第1 項
薬事法改正により、医師主導の治験に未承認の薬剤、器具機械を提供することを可能とする。
改正薬事法の施行により実施厚生労働省

○929 新しい医薬品や医療用具の審査における指定調査機関の要件緩和
薬事法第14 条第3 項
比較的リスクの低い医療機器については第三者認証機関による認証を義務づけることとし、指定調査機関制度を廃止する。第三者認証機関には、大学や公設試験研究機関であっても、公平中立で技術的能力、財政基盤の整備された機関については広く認めていく。
改正薬事法の施行により実施厚生労働省

○930 医療用具製造者の製造品目の変更・追加に係る許可制度の届出制度への変更
薬事法第14 条第3 項薬事法改正により、現行の品目追加・変更許可制度を全面的に見直し、書面だけではなく必要に応じて製造現場での確認をも行う承認審査システムを導入するとともに、製品類別ごとの区分に従い、製造所ごとに製造業の許可を与えることとし、品目追加・変更許可制度は廃止する。
改正薬事法の施行により実施厚生労働省

○931 侵襲性が低い新規医療器具や医薬品の本人承諾による迅速な使用薬事法第12 条
薬事法改正により、医師主導の治験に未承認の薬剤、器具機械を提供することを可能とする。改正薬事法の施行により実施厚生労働省

○932配置販売業に必要な知識経験の基準である実務経験年数に、薬事に関する専門講習の受講期間を合算薬事法施行令第7 条
配置販売業の業務を行うために必要な知識経験の基準について、薬事に関する専門講習を受けた場合は、その講習内容・受講期間等に鑑み、受講期間を実務経験とみなすことが可能かどうか検討し、速やかに実施する。
平成15 年度中厚生労働省
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総合規制改革会議の議事録より「医療」
  1. 第一回フリートーキング(小泉総理との意見交換)
    • 昨年度担当した医療分野は不可解な部分が多く、理屈で反対できないことを腕力で反対する部分があった。今年度の大きなテーマとして民間企業経営方式の導入があるが、全てを民間方式にしろというわけではなく、それを望む人が対応できる制度にすべきということ。本件については、昨年度総理からも検討の指示があったが、本年度も総理の指導力に期待したい。規制改革特区の実施により、改革のメリット及びデメリットをはっきり示すことができる。特区は地方の特色ある街づくりにも貢献するものであり、これを阻害するような規制は撤廃すべき。
  2. 第2回各ワーキンググループの検討課題について
    • 農業生産法人で株式会社の一定の参入形態を許容した。医療法人も株式会社形態もあり得るのではないか。
    • 株式会社を何の制限もなく認めろというのは考慮を有する問題であると認識している。配当自由という形になって、医療の株式会社を認めると、一種の税のような性格を持つ保険掛金に基づく資金が流出することにつながるのであれば、批判に耐えられないのではないか。近代的な、上場可能な企業の参入を認めて、情報公開と第三者監察がなされるのようなものに限定されるべきではないか、と一つの私案であるが考えており、医療法人にもできるようなことは導入するようなことをこれから議論を進める。
    • 医療法人形態の株式会社には小さいものも含まれるであろう。
    • 原資が保険である資金が余ったからと言って流出しても良いのか、といった議論は必要である。
  3. 第三回:官製市場見直しWG
    • 改革の目的は、多様な主体が各分野に参入すること、競争が平等に行われること、公共サービスの提供者が公共部門である必要はないこと。
    • 「市場参入制約分野の見直し」は「運営形態の拡大」、端的に言えば株式会社の参入がポイント。株式会社形態の持つメリットに着目し、相当の市場規模があり経済活性化に資すると考え得る医療、福祉、教育、農業等の分野について門戸開放を図る。
    • 各分野に共通して言えることは、参入の門戸を開放してそのメリットを理解してもらうことの重要性であり、答申はこうしたトーンで書くことを考えている。
    • 「既存運営主体の経営方式の多様化」については、債券発行による資金調達手段の多様化を考えている。
  4. 第六回:民間参入・移管拡大による官製市場の見直しについて
    • 官製市場のWGでは、4分野への株式会社参入容認と事務事業の民間移管を視点にした。参加主体をしぼることによる事前規制から、多くの主体参入による官製市場の活性化が中心となる。株式会社参入については、医療・福祉・教育・農業の各分野はかなり違う条件下にあり、横串的に一気に廃止という結論というわけに行かず、こちら側の意見に各省の反対意見というものが付加されている。
  5. 第八回ニュービジネス協議会からのヒアリング
    • 医療については当協議会においても、100兆円マーケットが予想できると思っており、我々としても(規制改革が)経済の活性化に役立つ、雇用創造に結びつくのではないかと考えている。我々も医療業界と近い生保業界としてこの問題と取り組んでいる。(規制改革が)一気に実現すれば、特区などは不要であるが、今のような空しい議論が積み重ねられている現状では特区が最も効果的な手法ではないかと考える。
    • 9月19日に開催された第3回日本のヘルスケア改革円卓会議では色々な先生が様々な意見を述べていたが、その提言内容は私の医療特区構想についてのペーパーに引用させていただいている部分がある。1961年の皆保険制度のスタート時、この制度は素晴らしいと思ってはいたが、国による一律のお仕着せ、官主導、官僚組織の肥大化は目に余るものがあるのではないか。既に制度疲労をきたしているにもかかわらず、制度のどこに問題があって、どこにメスを入れるべきかという議論もないということに、非常に苛立ちを持っている。
    • 委員の皆様にはどうか我々の主張を真剣に真正面から取り組んでいただいて、21世紀の医療の在り方というものを探っていただきたい。医療は患者主体のものでなければならず、提供者側だけの論理が通るべきものではないと考えているので、一刻も早く条件整備をしていただいて、患者主体の医療を構築していただきたい。また、医療消費者の多様なニーズに対応できるようにしてもらわないと、不作為による国家の犯罪になると思う。
    • (質問)資料2−2の1ページの下にある「(提供するサービス)」の部分、混合診療のことだと思うが、これの具体事例を教えていただきたい。
    • (回答)具体的事例は沢山あるが、前立腺がんの入院を伴わない治療として、米国では、放射線源を72個も前立腺の内部に入れるという、日本では認められていない治療法が十数年来行われている。具体的事例については、まとめて後日提出したい。
    • (質問)「医療産業は100兆円」との説明だったが、私は混合診療を認めれば30兆や40兆に軽くなると常々言っているので、少し保守的に聞こえる。その100兆円のストラクチャーについて知りたい。
    • (回答)産業という言葉は誤解を招きやすく、議論がそれでストップしてしまうので、ヘルスケアサービスと呼んでいる。(100兆円とは、)米国ではクリントン前大統領が東洋医学まで導入して医療費の節減に大変貢献しているのであるが、そういった産業も含めて申し上げている。そういう産業は日本ではまだ未発達であるが、これは厚生労働省が何ら基準を示していないところに問題があり、我々患者はどこの東洋医学にかかればよいのか全く分からない状況に無責任に放置されたままである。こういった産業も基準を示すことにより、新たな再スタートが切れるのではないか、それによって新しいビジネスがどんどん生まれてくる。特区構想には含めていないが、そういうものも新しいビジネスモデルとして考えられるのではないかと思う。米国では西洋医学と東洋医学のミックスがあるが、そういうものも考えれば100兆円のマーケットも考えられる。ストラクチャーについても資料として提出したい。
  6. 第九回
    • 当会議でかねてから議論になっている株式会社参入については、農業分野では可能、福祉分野においてもPFIあるいは公設民営方式で可能である。教育分野および 医療分野では未だ不可となっている。
    • 医療特区自体は認められていないが、例えば神戸市が望んでいた事項等については、全国対応ということで実質的に認められている。厚労省として、特区としては認めないが全国の特例としてある地域を認めるということであろうが、中身はほぼ同じことと考える。
    • 今の例のように、特区の議論を始めるにあたっては、当初特区での規制緩和を急ぐと全国ベースの規制改革が遅れるのではないかとの懸念もあったが、実際にはむしろ逆であった。すなわち、各省庁とも「特区において認めることだけは避けたい」「特区で実施するよりもむしろ全国ベースの規制改革を進める」との反応で、結果として200以上の事項が前進したのは、予想外の効果であったと思う。
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日本医師会の意見
日医総研リサーチ
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参考サイト
  1. 第3回社会保障審議会医療部会(01/11/19)
  2. 社会保障改革の視座(新田秀樹著)よりの抜粋
  3. 日本の医療制度が崩壊する? (三重県医師会)
  4. 特集「構造改革特区」 (福岡市医師会医療情報室)
  5. これからの医業経営の在り方に関する検討会中間報告 (厚生労働省)
  6. 日本の医療制度改革の方向 (八代尚宏)
  7. アメリカ医療ネットワーク調査団報告 (富士通総研 経済研究所 松山幸弘)
  8. アメリカ医療ネットワーク調査団: Sentara訪問時議事録
  9. 医療問題研究会の報告書について (経済産業省)
  10. 独占禁止懇話会: 161回会合議事録(規制改革に関連した取組)
  11. 政府規制等と競争政策に関する研究会
  12. NHKインターネットディベート:医療改革
  13. 市場原理主義の問題点 (慶応義塾大学経済学部教授 金子勝)
  14. 混合診療に関する論点
  15. 医療をめぐる動き(0210)
  16. 医療「改革」坂口私案発表 (平成14年9月25日)
  17. 実現に向けて動き出した「医療特区」構想 (京都府医師会)
  18. 医療特区の導入に強い危機感  (第3回医療に関連する規制改革特区対策委員会)
  19. 賛否両論「医療特区」 主役は地方自治体 (産経新聞:8月29日)
  20. 医療特区「病院の株式会社化を」 首相 (産経新聞:10月9日)
  21. 第1回 医療に関する規制改革特区対策委員会 (沖縄県医師会)
  22. 特集 四病協が規制改革会議に特区反対を表明
  23. 最先端治療を行う医療特区構想は日本の医学を救う(AF生命保険会社 大竹美喜)
  24. 医療制度改革試案について (厚生労働省)・・・日医の意見
  25. 医療制度改革に関する5つの反対・5つの提案 (日医)
  26. 調査研究内容の紹介(医療保険業務研究協会)
  27. 医療制度改革(NIKKEI)
  28. 医療制度改革のページ
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●用語について
  1. IHS(Integrated Health System)
          病院の内側から見たアメリカの医療システム(河野圭子著)より抜粋
    1. 1993年「マネジドケアの浸透拡大と病院の吸収合併」
      • マネジドケアの浸透にともなう病院経営のコスト削減化に激しさが増してきた。病院は引き続き入院日数を減らすために、集中治療に焦点を当てはじめる。
      • 非臨床面の財務費、購買費を抑え、経営効率を上げるために、複数の病院で形成された組織(Integrated Health System:IHS)が現われはじめた。IHSは経済効率をあげるとともに、巨大化したIHSは、マネジドケアとの交渉に際し、有利な契約を結ぶことが可能となった。これらの要因によって、病院間の吸収合併が盛んになりはじめる。
    2. 1997年以降「入院から外来治療に焦点」
      • IHS内で変化が見えはじめた。外来患者の治療の効率化にも焦点を当てはじめた。不採算性の高い科や部門を閉じはじめると同時に、スタッフのレイオフの実施にも踏み切った。
      • 情報システムを経営に取り入れ、外来専門施設の強化に力を入れはじめる。最近の傾向として、非営利組織の病院による吸収合併が増加しつつある。
      • マネジドケアの影響により、医師は自分の所属していた組織の経営者や民間保険会社の意向の変化により、自分達の組織も吸収合併に巻き込まれたり、あるいは経営方針の変更により、臨床以外に自分の立場を考慮する必要性が出はじめた。
  2. IHN(Integrated Healthcare Network)
                富士通総研 経済研究所主席研究員 松山幸弘氏
    1. 急性期ケア病床数・手術件数で現在アメリカの医療市場の65%を占めるまでに成長した異種医療関連機関垂直統合事業体IHNの名称はブームが始まった90年代だけでも次のように変遷しています。
        Integrated Healthcare System
        Integrated Delivery Network
        Integrated Healthcare Delivery Network
        Integrated Delivery System
        Integrated Healthcare Network
      どれを使うのが正しいということはありませんが、毎年この医療ネットワークの経営統合度評価ランキングを発表しているSMG社が2001年から「IHN(Integrated Healthcare Network:直前の2000年まではIDS)」 を使用していますので、今後はIHNに統一されると思います。
    2. なお、次の点が重要です。
      • IHNにおける異種医療関連機関の組み合わせには幾つかのタイプがあり、医療技術の進歩、地域住民のニーズに合わせてIHNは常に進化している。従って、IHNの定義自体も変化している。
      • Networkとは「患者が求める様々なケアをシームレスに効率的に提供する社会的仕組み」のことであり「医療情報ネットワーク」のことではない。
      • 地域経済圏で最大の雇用主(例えば、ピッツバーグ大学の医療事業部の従業員数は35000名)になっているIHNのマネジメントの仕組みに関する学術的研究は、アメリカでも最近始まったばかりである。
      • 日本が学ぶべきIHNの最大のポイントは、「地域医療圏の医療関連事業活動から獲得する収益を医療介護分野で地域社会に還元する仕組みをオープンシステムで構築している」ことにある。つまり、地域住民、医療機関から支持されるよりよい仕組みを創って誰でも参加できるようにするが、決して参加を強制はしない。独立系医療機関とは競争するが共存共栄も可能。
      • 日本では、医療機関の利害が錯綜している都会よりも、地方ほど日本版IHNの構築がしやすい。例えば、岩手県、長野県、熊本県が有望。

○参考:例えば何故、日本版IHN構築で岩手県を有望視するか(兜x士通総研 松山氏)
  1. 最大の理由は、全国で唯一27もの県立病院をもっている自治体だからです。ちなみに岩手県全体の医療費3649億円(1999年)のうち約3分の1の1097億円(2000年)を県立病院が占めています。これは、県立病院と連携している医療機関を含めると県内医療費の過半を県立病院が握っていることになります。この県立病院が財政危機の中で改革を求められています。改革の形がどのようになるか不明ですが、政策医療のための財源補助に上限を設けた上で、後は自力で採算向上、新規財源確保をすることになると思います。
  2. 新規財源確保の手段としては、医療圏外からの患者を呼び込むこと、臨床試験などの名目で研究資金が政府や企業からくること、が重要です。アメリカで成功している非営利IHNにおいて、外国患者部門は大きな収益源です。その収益を地域還元しています。また、世界一の医療データベースを構築している非営利IHNヘンリーフォード・ヘルスシステムには毎年臨床試験のために40億円近い研究資金が入っています。このように医療圏外から患者を呼び込み、研究資金を獲得するためには、臨床レベルがグローバルスタンダードに達していることが必須要件です。そのための最重要インフラが地域医療圏内の医師たちが切磋琢磨して創る疾病別臨床プロトコルです。
    わが国には狭い医療圏での臨床プロトコル作成の実績はありますが、広域医療圏で主な疾病を網羅した臨床プロトコルを構築した所はありません。岩手県の県立病院と民間医療機関が一丸となれば日本で最初の臨床プロトコル創造専門家集団になれると思います。
    なお、臨床プロトコルは個々の医師の専門家としての裁量権を否定するものではありません。
  3. 医薬・医療機器の企業が求めているのは、基礎研究から臨床試験、商品化までの流れを他の地域より効率的にサポートしてくれる地域社会システムです。従って、臨床プロトコル作成を通じて医療圏内の医師たちの間に連携に対する信頼関係ができれば、岩手医科大学を核に単なる日本版IHNから医療産業集積に進化することができます。
  4. アメリカには医療ネットワークIHNが2002年1月現在で602ありますが、そのうち医療産業集積と言えるのは10箇所くらいです。その中でも成長著しいのがピッツバーグ大学医療事業部(UPMC http://www.upmc.com )は、参加医師数5600名、薬学などの科学者400名、従業員35000名の非営利医療コングロマリットです。このUPMCが事業展開する地域の人口は約250万人です。
    これに対して、岩手県141万人、秋田県118万人、青森県147万人、合計406万人です。これに匹敵するのが四国4県の415万人です。つまり、東北3県を合わせれば市場規模でUPMCを上回ります。
  5. アメリカのIHNの中でマネジメントが最も優れていると評価されているのは、ユタ州ソルトレイクを拠点にする非営利IHNインターマウンティンです。ユタ州は岩手県以上に過疎地を抱えています。そこでインターマウンティンがとった戦略は、急性期ケアの手術施設などを集約立地し、患者の移送手段もしくは医師移動手段に投資することで、地域医療ネットワーク全体の設備投資コストを抑えたことです。
    過疎地医療で大切なことは、医師個人の犠牲に丸投げするのではなく、対費用効果を考えつつ過疎地の住民でもグローバルスタンダードの急性期ケアを受けることのできる社会システムを地域医療界が知恵を絞って考案、実践することだと思います。株式会社である銀行でもそうですが、日本に欠けているのは、マネジメント能力です。
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ジョージ・W・ブッシュ大統領による一般教書演説(03/1/28)より
http://usembassy.state.gov/tokyo/wwwhjp0280.html

 第2の目標は、国民全員に質が高く利用可能な医療を提供することである。米国の医療制度は、技術と革新の模範となっており、われわれに長寿をもたらす新たな発見が次々と生まれている。にもかかわらず、多くの人々にとって医療費は高すぎるし、医療保険に全く加入していない人たちも多い。こうした問題は、保険の適用と治療を制限するような国民皆医療保険制度では解決できない。

 そのかわり、われわれは、国民全員が優良な保険に加入し、自分で医師を選び、高齢者や低所得者が必要な援助を得られるような制度の確立を目指さなければならない。官僚や法廷弁護士や健康医療団体(HMO)ではなく、医師や看護師や患者が再び米国の医療を主導するようにしなければならない

 医療改革は、まずメディケアから始めなければならない。メディケアは、思いやりのある社会に課された責務である。われわれは、米国の医療に変革をもたらしている予防医学や新薬を、高齢者が利用できるようにすることにより、この責務を新たにしなければならない。

 現在のメディケアに満足している高齢者に対しては、現在の制度がそのまま適用されるようにすべきである。そして、皆さんのように、すなわち議員やそのスタッフ、その他の連邦政府職員と同様に、すべての高齢者が、処方薬を提供する医療保険制度を選択できるようにすべきである

 私の予算案では、今後10年間に、メディケアの改革と強化に、さらに4000億ドルを計上している。メディケアの強化については、民主・共和両党の指導者が何年にもわたって協議してきた。私は、この新たな議会の議員に、今年、行動に出ることを求める。

 米国の医療制度を改善するためには、高額な医療費の最大の原因のひとつに取り組まねばならない。それは、医師や病院が不当に訴えられることを常に恐れていなければならないことである。行き過ぎた訴訟のために、医療費全体が上昇し、優秀な医師が失なわれている。ばかげた訴訟で病気が治ったことはない。私は、議会が医療責任改革法案を可決するよう求める。
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