日本脳炎ワクチン接種の説明をする際に
  1. 厚生労働省の「概要」「Q&A」)(05年5月30日掲載)
  2. 日本医師会からの通知文書(説明文&同意書の雛形あり)
  3. 6月8日付けの東京都&都医の対応要旨
  4. 春の豚たち
日本脳炎に関する専門家ヒヤリング会議議事録からのメモ:
  • 岡部委員(感染研情報センター)
    • 日本脳炎は非常に重症な疾患であり、基本的に治療方法はなく、予防が重要であるということが前提にある疾患。(日本脳炎1999-2002
    • 南の方、暑い夏の方が宿主であるブタの抗体陽性状況は高く、現在でもブタの間では日本脳炎ウイルスの感染を受けているということの証明。
    • 1)現在日本脳炎ウイルスは日本にはあるという証明、2)疾患は少なくなっている、3)ワクチン接種がきちんと行われている、のが現在の状況。
        
  • 森田委員(長崎大学熱帯医学研究所)
    • 1)日本脳炎ウイルスは日本を含む東アジアから東南アジア、インドの西辺りまで分布し、2)日本脳炎ウイルスは、かつて思われていたように安定して存在しているというよりは、比較的頻繁に鳥などにより東南アジアから東アジア、韓国、日本へと、頻繁に飛来しているよう、なので、日本脳炎は日本一国にとどまらず、アジア全域の問題として検討すべき。
    • 2001年、現在でも大体、九州辺りでは3.7%、愛知辺りで1.5%ぐらいの人たちがやはり毎年、日本脳炎ウイルスに少なくとも曝露されている。
        
  • 渡辺委員(富山県衛生研究所)
    • 大都市近郊では媒介するコガタアカイエカの発生源である水田の減少、繁殖に非常に重要な家畜の数及び畜舎の数が減少し、蚊の数は減るのは当然。しかし、地方都市ではそんなにコガタアカイエカは減ってはいない。
    • 日本脳炎の流行が多かった1960年代には6月から7月に蚊の発生が多く、7月に発生の山が見られていたが、現在は8月、9月に蚊の発生が多くなっている。
    • 蚊から見た患者数減少の理由:1)蚊の発生数が減少、2)蚊に刺される機会が減少、3)蚊の発生ピークが秋にずれ、日本脳炎ウイルスの蚊の体内における繁殖が低温傾向に従って低下、4)蚊自身の日本脳炎ウイルス保有率が低下。
    • コガタアカイエカ数が多いと、やはりブタのHI上昇も早い。
    • 天候の状態によっては、いつ何どき、また蚊が急激に増えるかわからない状態。そのときにそのウイルス自身も東南アジアの方から都合よく侵入してくれば、また再び流行が起こるという可能性は否定できない。
        
  • 倉根委員(感染症研究所ウイルス第一部)
    • 日本で開発されて使われているマウス脳由来の不活化ワクチン(北京−1株&中山株)がインターナショナルにアクセプトされた唯一の日本脳炎ワクチンであり、確かにこれまでの歴史から、現行の日本脳炎ワクチンというのは有効性が高く、安全である、国際的にも認知されている。
    • 問題点は、1)マウスの由来の物質の混入を種々の努力によって限りなく少なくしたとしても、マウスの脳由来であるという事実は消せない、2)確かに急性散在性の脊髄炎が起こった場合、これとの因果関係が全く無いと示すことは非常に難しい。
        
  • 大矢委員(立教大学社会学部教授&立教大学診療所長)
    • 接種者が大体400万前後、の観点から実際には予防接種後副反応ネグリジブル。しかし、神経の非常に重篤な疾患なので大きな問題になる可 能性があり、更に要検討。
       
  • 小林委員(国家公務員共済連合会千早病院小児科医長)
    • 予防接種法改正(1996年)では1)国民に「予防接種に関する知識の普及を図る」(法第 19条1)、2)国民はその知識をもとに判断をし、接種を「受けるように 努めなければならない」(法第8条)とあるげ、現状は殆ど「知識の普及」が図られていない。
    • 少なくともここの予防接種後の副反応報告がなされてから、他の麻疹とかインフルエンザとかでも出ているが、飛び抜けてADEMと診断されて報告する例が日本脳炎は多い。
    • 接種事故が非常に今、多い。保護者を同伴しない学校で行う集団接種では、問診書のチェックや予診が十分出来ない。
    • 原因は判らないが罹患者数は減少している。しかも、ワクチン接種年齢層だけではなく全体が減少している。その中で、ワクチン被接種者は急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、全身蕁麻疹、アナフィラキシーなどの重篤な副作用が増え、罹患を上回っている。これに加え、ワクチン被接種者は集団接種で増していく接種事故の危険性にさらされている。以上より現時点では日本脳炎ワクチン接種の利点はなく、必要性もない。
        
  • 宮崎委員(福岡市立西部療育センター長)
    • ADEMは非常に種々の原因で起こり得る、感染と絡んだ免疫性の中枢神経疾患。小児によく起こり、人口10万あたり年間 0.3〜0.6程度。生命予後は、脳炎や脳症よ りは比較的良いというのが特徴。原因の特定は非常に困難な場合が少なくなく、日本脳炎ワクチンとの密接な疫学的な相関、例えば接種が増えるとADEMが増えるというような突出は見られなかった。
        
  • 加藤委員(聖マリアンナ医科大学医学部の教授&横浜市西部病院長)
    • 天然痘とかポリオのように病原体が無くなったことが確実になった疾病に関しては行政上、十分な責任をもって予防接種をやめても大丈夫。しかし、百日咳ワクチンをやめた後、5年間で150人の乳幼児が百日咳で死亡、完全に歴史が10年間さかのぼってしまったという現実がある。
    • 1)病原体がまだまだありそうである、2)ジェノタイプも変わってきたりするようなこともありそうである、などを勘案してみると、どうも病原体が駆逐されていない、また、3)豚の汚染度もありそうだ、4)百日咳よりももっと不完全な意味でのワクチンによる副作用との関連性、などを絡めて、この日本脳炎の予防接種はもうやめようという考え方を国がすることはちょっと危険。
         
  • 倉根委員(感染症研究所ウイルス第一部)
    • 非常に地域差があり、データがある訳ではないが、日本脳炎ワクチンはとめてしまえば、ラフに考えると100万人いたら10人ぐらいの日本脳炎の患者が出てもおかしくない。現実には日本脳炎ワクチンを今後、存続すべき。ただし、今後、それよりも更にいいものがあれば、やはり今度は積極的にそれを使っていくというのは当然のこと。
        
  • 小林委員(国家公務員共済連合会千早病院小児科医長)
    • 行政的に国が国全体として止めるのが危険だということであれば、やはりき ちんと具体的な日本脳炎の今の状況および副作用の状況、効果の状況というのを一人ひ とりの国民に明らかにし、接種する医師にも十分な情報を提供し、その上で判断をしたい。判断ができるような状況を整えるべき。
    • 専門家とか一部の医師の間では常識でも、現場の医師 及び国民に十分納得できるような今の情報の回路というのが無いというのが一つの問題。
        
  • 森田委員(長崎大学熱帯医学研究所)
    • 日本の現状を考えても西日本から九州、沖縄に至るところは、まだワクチンを止める段階には達していない。 
        
  • 倉根委員(感染症研究所ウイルス第一部)
    • 動物でもヒトでも、同じ量のウイルスが体に入ったとしても、成人はかなり免疫応答が抗体も含めて強いので現実にはなかなか発症しない。やはり、ウイルスが入ったときに最も感受性が高い、つまり発症しやすいというのは小さな子どもであり、そこの時期を抜かしてしまうのはちょっと乱暴。小児、特に小さな子どもに免疫を付けるというのが非常に重要。
        
  • 宮崎委員(福岡市立西部療育センター長)
    • 3歳からの根拠は、1)発症年齢をみると殆ど患者さんが3歳未満では出ていなかったということと、2)DPTから麻疹、風疹に至る予防接種が2歳ぐらいまでかなり立て込む ので、それが一段落してからでも十分ではないか、3)定期化はしたが全体の接種回数は最小限にしていくと いう考えがあり、3歳ぐらいに初回接種をするとちょうど小学校の途中で4〜5年に なって、中学でやるともう4〜5年になるということで、ちょうど免疫がうまく繋がる。
        
  • 渡辺委員(富山県衛生研究所)
    • コガタアカイエカも東南アジアの方向、もしくは台湾辺りから飛んできている可能 性が強い。
    • 今、蚊が少なくなったと言うが、福井の豪雨や新潟の豪雨など、夏の豪雨の時には必ず、その後、蚊の大発生が、今までも起こっている。
    • 蚊が媒介する疾患というのは、一度蚊が大発生してしまうと蚊の駆除というのは非常に困難、即ち、患者が大発生してからでは抑圧は非常に困難、なので、そのベクターを駆除する前に防御ができればベスト。
6月8日付けの東京都&都医の対応要旨
  • 以下の事項につき、東京都医師会、特別区代表、東京都との三者協議会小委員会の場で確認されたので、23区地区医師会においては定期予防接種実施主体である区と至急連絡協議し、以下の対応を取られたい。何か間題があれば東京都医師会保健医療課へ。
      
  • 【区対応】
    1. 区は今後、定期の予防接種である日本脳炎ワクチン接種の個人への案内を新たに通知しない。
    2. 既に接種記録票が手元に届いている場合はく区は広報等で、定期の予防接種である日本脳炎ワクチンの接種を差し控えるよう周知する。
    3. 接種を希望する方については、区の予防接種担当窓口で充分な説明を受けた上で、日本脳炎に感染するおそれが高く、特に接種を希望する場合は、原則として説明した区職員が「説明書」に署名し、保護者が「同意書」に署名等を記載し、接種記録票に添付して、接種可能な予防接種委託医療機関で接種する。
      
  • 【23区地区医師会対応】
    1. 23区地区医師会は、上記【区対応】3の場合に日本脳炎ワクチンの接種可能な予防接種委託医療機関を調査し、数箇所の予防接種委託医療機関のリストを作成して、可能な限り早急に区に提出できるようにされたい。
    2. 23区地区医師会は、個別医療機関宛の通知と「日本脳炎ワクチン接種のQ&A一医療機関向け」をコピーし、予防接種委託医療機関に送付されたい。
    3. なお、市町村については、独自の対応もあるかと思うが、本件については東京都から情報提供されている。