「これからインターネット、やってみようという先生方へ」

日臨内IT委員会 安藤潔(荒川医院)


●はじめに
IP電話が宣伝される今、インターネットは既に日常的なツールとなり、若い世代にはパソコン(PC)よりも携帯、という方も多いようです。ただ、日常診療などに使うには、やはり一度に多くの情報を見られるPC画面が便利、ということで、PCを使ったインターネットについて御紹介をしようと思います。

さて、筆者もひと昔前、データの分析や論文の作成などで、PCの卓越した処理能力の恩恵に預かった一人ですが、インターネットについては、まやかしの世界、怖い世界、という懸念を払拭できず、開業医となって電子カルテやレセコンを導入してからも、ずっと二の足を踏んでいました。5年ほど前、新しいPCを購入してインターネットを始めてみると、そこには全国各地、さまざまな方々との新たな世界が広がり、今や、筆者にとってインターネットに繋がったPCは、仕事上、欠かせぬツールとなっています。

●揃えたいもの
まずPC選びですが、初心者には昨今の廉価版でも充分な性能を備えており、多彩な機能に目を奪われて豪華版を買っても、結局、使い切れずに宝の持ち腐れになることが多いようです。因みに初心者はハード・ディスク容量に目が行きますが、実際の使い勝手は作業台にあたるメモリ容量に左右されますので、メモリを増やすのが上手に使うコツのようです。ノート型PCはデスクトップ型PCよりもやや高価ですが、他人に教えを乞うことが多い初心者には、持ち運びができる前者が便利です。更にノート型には携帯に便利なB5版がありますが、患者さんへの説明にも使うことを考えると、或る程度、画面が大きいA4版がお薦めです。目も疲れませんし、作業をする際にも広くて使い易いのです。

いろんなサイトを閲覧したり、映像会議に参加したり、インターネットを有効に活用するには、やはりADSL以上の回線が欲しいところです。また、PCと回線が準備できたらプロバイダー(接続サービス業者)と契約しますが、これも常時接続で使い放題のサービスを選択したいところです。尚、契約後にプロバイダーから送られてくるユーザーIDとパスワードが記載されている書類は非常に大切なものです。しっかりと保管しておきましょう。

●買っただけでは使えない
いろいろ揃えたら、インターネットを活用する為の設定をしなければなりません。これが結構、厄介です。PCや回線の設定は最初に一度、行えばそう度々、する必要に迫られることはありませんが、サイト閲覧ソフトやメール閲覧ソフトの設定は、使っている間にも結構、自分で設定せざるを得ない状況に遭遇します。教わったらキチンとメモしておきたいものです。

自動音声入力ソフトもありますが、まだキーボード入力が一般的で、多くの初心者にとっては最大の難関です。しかし、非常に難しく感じるキーボード入力も、実際には左右の人差し指に6つ、中指・薬指・小指には3つだけキーを覚えさせれば、後はローマ字入力で日本語も英語もOKです。FとJに両人差し指を置いた位置から手首を動かさず、FJFJFJ・・・、次にTYTYTY・・・という具合に打ちながら、次々に各指にキーを覚えさせます。この際、出来るだけキーボードを見ずに指を動かすのがポイントで、小一時間も我慢して続ければ、何とかキーボード入力できるようになります。

●PCは常時、目の前に起動しておく
筆者は診療中、インストールした医学書(1)や、医学・医療系リンク集(2)検索サイト(3)などを常時、画面に開いています。速やかな検索はPCの最も得意とするところで、何だっけ、と思ったら、簡単な言葉の組み合わせで直ぐに関連するページを見ることが出来ます。また、判り易い静止画や動画を見つけたらお気に入りに保存しておくと、患者さんへ説明する際、とても便利です。

今や数百の医療系メーリングリスト(ML)があると言われています。先達に聞いて日常診療に役立つMLに参加してみましょう。MLからの配信は玉石混淆・・・日常診療の合間に読み切れなくなったら、ML毎のフォルダに配信されるようメール閲覧ソフトの自動振り分け機能を設定し、タイトルや差出人名などから読むべきメールをトリアージして行きます。

MLのお仲間とオフミ(off line meeting)をすると、初対面であってもまるで昔からの知り合いであるかのように話をすることが出来ます。近年、簡便な映像会議システムを使って、全国各地のML仲間と on lineでオフミのような出会い、即ち、お互いの顔を見て普通にお喋りが出来るようになりました。事前にテーマを決め、MLでやり取りをしたうえで映像会議を開催すると、より充実した会話を楽しむことが出来ます(4)。

厳しい医業経営に急増する医師会業務、となれば、民主的・効率的にこれらをこなす為には、身近なIT化が必要です。地域の診療連携にメールは便利ですし、医師会内でも各種MLやHPを開設して、情報は常にメンバーで共有、随時の意見交換をしています。また、日常的には messengerが簡便で、まず文字チャットで相手を呼び出せば、診療中でも邪魔になりません。ボイス・チャットに切り替えれば、ファイルやサイトを共有しながら会話もできます。因みにいつでも応答できるよう、診療中は画面をつけっ放し、スクリーン・セイバーなどは使っていません。

●トラブルへの対処法は
コンピュータ・ウイルスが蔓延する今、ウイルスが潜む添付メールやHTML形式のメールには注意が必要です。名前を騙ってウイルス・メールを送りつける「なりすまし」も横行していますので、互いに事前の了解が無ければ、知人からのメールであっても添付ファイルは開封しません。添付ファイル付メールは「ごみ箱」へ自動振り分けしておき、必要を判った時だけ「ごみ箱」へ見に行っています。ウイルス対策には予防が一番、ということで、最初からウイルス対策ソフトをインストールし、HP閲覧ソフトと共に定期的に最新版に更新(Update)し、昼休みなどPCを使わない時間帯を利用してできるだけ頻回にウイルス・チェックを行います。

調子良く動いている時のPCは非常に有用なツールですが、一旦、トラブルと、初心者にはブラック・ボックス化します。そんな時、あらま欲しきは先達なり、で、詳しい知人が身近に居れば、まるで魔術師のようにトラブルを解決して呉れます。トラブルの原因は多くの場合、未熟な操作ミスによるので、PCに八つ当たりせず、謙虚に反省してミスを順次、無くして行くこと・・・これがITと仲良く付き合うコツだと思います。

○参照サイト
1)今日の診療:
http://www.so-net.ne.jp/m3/k-shinryo/
2)実地医家の机:
http://www.cminc.ne.jp/tonaiml/tukue1.htm
3)Google:
http://www.google.co.jp/
4)広域講習会:
http://www.cminc.ne.jp/orcademo/broba0301.html