採血器具について '08
080725改訂
5年前、真空管採血スピッツが滅菌されていない、とのニュースが流れ、こちらを作成しました。そして現在、日本も真空管採血スピッツも滅菌品となりました。今年5月、またまたマスコミ報道等が混乱してるので、ちょっと整理整頓。

 本年5月、微量採血用器具の操作ミスによる”針の複数人への使用”に端を発し、2年前に通知した”針以外の周辺部分”も、と厚生労働省の指示で全国医療機関の実態調査に発展、更に、1年半前に通知があったから”採血ホルダー”も、というマスコミ報道が交錯して、地区行政が、そしてその煽りで医療の現場もバタバタ・・・、(@_@;)  (こちらのブログもどうぞ)

●微量採血用穿刺器具について: ⇒ 流れている情報はこちら
  • 今回の全国調査では、現場への周知不足を棚に挙げて下記AとBを同列に扱い、現場の地道な取り組みに配慮することもなくAのみならずBの医療機関名まで拙速に公表、なので甚大な風評被害が懸念されます。(・_・;) ・・・・こちらの見解が有効に働くかしら。
    1. 配慮不足:(=AとBとを同列扱い)
      1. 感染のEBMがあり、医療の現場で既に論外とされている「針の使いまわし
      2. 明らかな感染のEBM(下記)も周知されず、医療の現場で多くの臨床医が問題なしと判断して行ってきた「針の周辺部(先端キャップ)の複数人への使用」、
    2. 周知不足:
      • 今年6月13日の厚生労働省からの通知にある回答5ですが、
        1. a)英国で疑い例が2例あった、b)英国とカナダで注意喚起が行われた、までは平成18年3月の通知に記載されていたもの、
        2. 一方、より深刻であり医療現場にとって重要な平成18年12月の情報、c)英国で7例ものB型肝炎の感染報告があった、d)疑い例11例中4例が死亡した、については、この今回の通知まで全国の医療機関に周知していない、・・・?(・_・;)  
真空管採血ホルダーについて: ⇒ 流れている情報はこちら
  • 6月中旬、採血ホルダーは調査対象外、更に7月末、針刺し損傷を防止する観点から、ディスポシリンジでの採血は避け、ホルダーの入手が可能となるまでの期間は、ホルダーを適正に消毒した上で再使用して、こちらに示された正しい採血方法を実施されたい、との見解が示されました
     (∩_∩)

カワズの独り言:それにしても、患者さんを懸命に支えんとする医療行為を、安易に”不適切”等とする輩にハラガタツ。(・_・)

●流れている情報:
  1. 微量採血用穿刺器具について
    1. 採血用穿刺器具(針の周辺がディスポーザブルタイプでないもの)の複数者使用について(島根県:08/5)
      • 操作ミスで針が複数人に使用された事例が1件、そこで緊急調査した処、針の周辺部分を複数人に使用していた医療機関が56件あった。後者では針の周辺部分が複数人の皮膚に接触したことになるが、このことにより、感染症の発生があったという事例は国内では報告されていない。
    2. 採血具使い回しのミス謝罪(08/5)
      • 診療所でそれまで使っていた器具が故障したため、患者用に置いていたカセット式を使用。看護師は針が自動交換されるものと勘違いして、3月28日から判明する4月30日まで37人に同じ針で採血したという。
    3. 採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取扱いについて(06/3):(微量採血の為の穿刺器具
      • このうち、針の周辺部分がディスポーザブルタイプでない器具(4製品)について、英国医薬品庁は、昨年11月、(ア)英国の介護施設におけるB型肝炎患者の発生(2名死亡)との関係が疑われる旨発表するとともに、(イ)ヘルスケア・ワーカー(医療従事者)及びケア・ワーカー(介護従事者)は、これらの者向けの穿刺器具(具体的には、針の周辺部分がディスポーザブルタイプであるもの)を用いるか、器具全体がディスポーザブルタイプのものを用いるべき旨等の注意喚起を行った。 また、カナダ保健省も、本年1月、英国と同様の注意喚起を行った。
    4. 微量採血のための穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)に関する報道発表資料(08/5)
    5. 「微量採血のための穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取扱いに係る周知徹底及び調査の実施について(依頼)」に関する情報提供(08/6)
      • A 平成18 年12 月に「不適切なタイプの穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)を用いたことによるB型肝炎の感染報告を受け続けている。これらの報告は、すべて在宅看護及び在宅介護に関連している」旨の追加情報が公表されている。また、平成18 年12 月に英国危機管理庁より「平成17 年から18 年12月までに、7 例の不適切使用によるB型肝炎感染が報告された。その後、当該器具の取扱いが原因で感染が疑わしい事例が11 名の糖尿病患者で確認され、うち、4名は死亡。少量の血液が器具のキャップに残ることがあり、これにより、患者の交差感染に至り得る。」との情報が発信されている。
    6. 微量採血穿刺器具の取り扱いについて(要旨;日医:08/7/1)
    7. 針の周辺部分がディスポーザブルタイプではない微量採血用穿刺器具について:(08/7/18:日本感染症学会)
      1. 感染性:
        1. 針の交換を患者ごとに行っても、この末端キャップは穿刺時に患者の穿刺部位に触れる可能性がある。通常、末端キャップを指に押し付けて、指先穿刺したら、直ちに器具を指先から離してしまうので、血液で汚染される危険性は極めて少ないと考えられる。
        2. 又、わが国では、針は交換したうえで周辺部分を消毒して複数人へ再使用したための感染事例の報告は無い。このように、穿刺針を交換して、さらに穿刺針の周辺部位を消毒して使用した場合には、感染の可能性は理論的には否定できないが、非常に低くなる。
        3. このタイプの器具を複数人に使用したことにより感染の事例として既に示したように英国にてB型感染の感染が疑われる例が報告されているが、我が国では、これによる感染事例は報告されていない。又、C型肝炎や HIVの感染事例については、現在のところ国内外ともに報告されていない。
      2. 患者等からの問い合わせがあった場合の対応:
        1. 器具の種類、洗浄・消毒の方法を確認し、消毒が不十分などの不適切な処理にて使用されていた患者等に対して、受診の勧奨、速やかな検査、適切な治療や経過観察等を行うことが必要となる。
        2. 必要な検査としては、B型肝炎ウイルスが該当し、B型肝炎ウイルスによる感染の確認にはHBs抗原の測定を行う。尚、検査に関して留意すべきことは、感染症検査が陽性であっても、必ずしも採血器具を再使用したことが原因であると言えない可能性もある。
      3. 器具の適切な消毒方法:
        1. 一般的な消毒法として、血液媒介感染するウイルス(HBVなど)を対象とした消毒は、
          1. アルコール綿(消毒用エタノール、70%イソプロパノール)による清拭消毒する(充分にアルコールを含んでいることが大切で、接触時間が重要な要素)
          2. 有効塩素濃度 500ppm(0.05%)次亜塩素酸ナトリウムに 10分間(20℃)浸漬消毒する。

  2. 採血用ホルダーについて:
    1. 真空採血管を用いた採血業務に関する安全管理指針(Ver 2.05)(03)
      1. ホルダーは汚染がなくても患者ごとに取りかえる。
      2. ホルダーは汚染に関係なく、洗浄・消毒(次亜塩素酸ナトリウム)後リサイクルする。⇒尚、こちらのような意見もあり下記3かしら。
    2. 真空採血管を用いた採血マニュアル(03/12;東京都健康局)
    3. 採血ホルダーも使い捨てに、感染症防止へ採血法統一(05/4)
      • 平成16年7月、日本臨床検査標準協議会は採血手技に加え真空採血管の滅菌、ホルダー使い捨てなどを内容とする標準採血法の指針を策定した。同17年1月、厚生労働省が原則として使い捨てであることを都道府県などに通知した。
        1. ホルダーは患者ごとの使用とし、使用後は廃棄すること(ホルダーに血液が付着した場合は、交差感染のおそれがあるため)。
    4. 真空採血管ホルダーの取り扱いについて(日医;08/6/11)
    5. 真空採血管ホルダーの取り扱いについて(第二報) (日医:08/6/26)
      1. 厚労省作成のQ&Aには下記と明記されている。この問題に関して更に正確を期すために、日本感染症学会の学術的コメントを求めている。
        1. 真空採血管等における使用上の注意等の追加等について(平成17年1月4日付薬食安第0104001号)通知は、ホルダーの再使用による感染等の健康被害の発生等を踏まえて発出されたものではなく、また、真空採血管のホルダーを一律に単回使用の医療機器とすることを求めたものではない
        2. ホルダーの再使用による感染等の事例の報告は国内外ともに承知していない。
    6. 真空採血管ホルダーの取り扱いについて08/7/18:日本感染症学会
      1. 複数人に使用した場合の検査の必要性:
        1. 同器具による感染は過去に報告がなく、平成16年2月に出された「真空採血管を用いた採血業務に関する安全指針(Ver 2.05)」に記載されている適切な採血方法を実施していた場合には、ホルダーの汚染を介した感染のリスクは極めて低いと考えられるため、検査は不要と考える。
      2. ディスポーザブル真空採血管ホルダーの入手が困難な場合:
        1. 現在、採血ホルダーの入手が困難になっている為、その対策に苦慮している施設が多い。針刺し損傷を防止する観点から、ディスポシリンジでの採血は避け、ホルダーの入手が可能となるまでの期間は、ホルダーを適正に消毒した上で再使用して、「真空採血管を用いた採血業務に関する安全管理指針(Ver 2.05)」で示された正しい採血方法を実施されたい。

●その他:


どうしてこのような採血器具ができたのか
◎微量採血用穿刺器具:(針は当然、使い捨てです
  • 標記器具は、刺される患者さんが出来るだけ痛くないように、また、出来るだけ微量の血液で検査できるように考案されたものです。
      
  • 国内で“複数人への使用による感染例”の報告はありません。 その理由として、
    • 標記器具の刺す強さは、刺した後に少し穿刺部を絞って初めて微量の血液が採取できる程度に、適切に調節可能となっており、我が国の医療機関では、慎重且つ適切に同器具を使用しているので感染が無い、と考えられます。
◎真空管採血ホルダー:針は当然、使い捨てです
  • 標記器具は、もともと注射器で採血した血液を真空管に分注する際の針刺し事故を回避する為に考案されたものです。
      
  • 国の内外で“複数人への使用による感染例”の報告はありません。
    • 今回のマスコミ報道により、止むを得ず標記器具の使用を控える医療機関も少なからず、という現状で、毎日多くの採血業務をこなさねばならぬ医療従事者に、当ホルダーを使えなくなったことによる針刺し事故急増、が強く懸念されます。



保健所から届いた参考文書から(08/6)
●微量採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取り扱いに関する調査等に係るQ&A
  • 微量採血のための穿刺器具の不適切な使用の「不適切」とはどのようなことか
    • 微量採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取扱いについて、
      @ 針を交換せずに複数人に使用すること。
      A 針は交換していたが、複数人への使用が禁忌となっている微量採血用穿刺器具を複数人に使用することむ
      B 上記@、Aの両方を行ったこと。
      とする。
  • 針の周辺部分がディスボーザブルタイプでない微量採血用穿刺器具を他の患者等に使用する際に、その都度アルコール消毒していた場合でも「不適切な使用」として扱うのか
    • 針を交換する際に、針の周辺部分をアルコールで消毒していた場合についても、そもそも、当該器具は複数人への使用を禁じられており、Aに該当するので、「不適切な使用」として扱うこと。
      (参考:B型肝炎ウイルス等に対しては、アルコール精綿での消毒では不十分である。)
  • 過去の使用について、どこまで遡って調査するのか
    • それぞれの微量採血のための穿刺器具について、製造販売が開始された時点を調査の起点として調査を実施するものとする。もっとも古い製品の販売開始は、平成9(1997)年1月である。
  • 不適切な使用があった場合はどうすればよいのか
    • 再発の防止をするとともに、不適切な使用の対象となった患者等に対する速やかな検査、受診の勧奨、適切な治療や経過観察等を行うこと。
  • 調査はこれで終わりか
    • 不適切な使用が認められた診療所等には、今後、不適切な使用の対象となった患者等の数、不適切な使用を行っていた理由、対象患者等に対して行った措置等についても報告を求める予定である。
  • 不適切な使用が認められた施設等は公表するのか
    • 不適切な使用を行った患者等の全員について、漏れなく特定し、連絡することが困難であると予想されることから、広く検査及び受診を勧奨するためにも不適切な使用な認められた施設等の名称等は、原則として公表する。


島根県からのお知らせ」から(08/6):
  • 採血用穿刺(せんし)器具(針の周辺がディスポーザブルタイプでないもの)の複数者使用について
    • 事案の概要:
       2つの事案が重なって起きています。
      • 〔事案1〕
        益田市内の診療所で
        複数の人への使用が禁止されている個人用の採血用穿刺器具で、複数の患者に針を交換しないで検査を行っていました。
        • 針を介して、感染症が発症する恐れがあります。
        • この事案は本件1件のみです。
      • 〔事案2〕
        事案1と同じ診療所で
         複数の人への使用が禁止されている個人用の採血用穿刺器具で、針は交換していたが複数の患者に対して検査を行っていました。
         緊急に調査をしたところ、この他にも県内56の医療機関で同様のことが行われていました。
        個人用の採血用穿刺器具を複数の患者に使用していたことは、禁止されている行為でありますが、針が複数の患者に使用された訳ではありません
        • 針の周辺部分が複数の患者の皮膚に接触したということですが、このことにより、感染症の発生があったという事例は国内では報告されておりません。
        • また、当該器具は一人の方に使用されることについては問題ありません。
    • 採血用穿刺器具とは、主に血糖値を測定するため微量の血液を採取するために用いる器具で、通常の注射器などとは違います。
       今回問題になっている器具は、採血用穿刺器具のうち、針の周辺部分が交換できない個人用のものです。
    • 今回問題になっている器具は、採血用穿刺器具のうち、針の周辺部分が交換できない個人用のものです。

真空採血管ホルダーの取扱いについて(日本医師会からの通知;08/6/11)
  1. 真空採血管ホルダーの調査について
     本年5月30日に、厚生労働省医政局長並びに医薬食品局長名で「微量採血のための穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取扱いに係る周知徹底及び調査の実施について」調査依頼が、各都道府県知事、各政令市長と各特別区長宛に発出されました。
     この調査は、微量採血のための穿刺器具に対してでありますが、一部の都道府県行政においては、真空採血管ホルダーの使用実態調査も独自に行っているとの報告がありました。

    日本医師会は、この問題を重視し、直ちに厚生労働省医薬食品局の担当官にその真偽をただしました。その結果、以下の回答を得ております。
    1. 調査を依頼したのは、微量採血のための穿刺器具に関してであり、真空採血管ホルダーについての調査は全く考えていない。今後も調査する予定はない。
    2. 真空採血管ホルダーに関する調査は、一部の都道府県行政が独自に行ったものである。
    3. 真空採血管ホルダーによると考えられる感染の報告は一例もない。

    以上です。

    従って、真空採血管ホルダーに関する調査は、上記の厚生労働省の見解のごとく、その必要がないものであることを貴医師会におかれてはご理解いただき、行政と協議いただき、然るべき対応をお願い申しあげます。
       
  2. 真空採血管ホルダーの取扱いについて
     真空採血管ホルダーにつきましては、平成17 年4 月の改正薬事法の施行から、それまでの「雑品」扱いから「医療機器」に指定変更された結果、添付文書の【禁忌・禁止】欄に再使用禁止である旨が記載されています。
     しかし、真空採血管ホルダーを用いた採血は、日常、外来や病棟でも行うものであり、例えば、大病院では毎日800〜1000 件、病棟で200〜300 件の採血を行っています。
     採血手技が、大小病院、診療所、検査センターも含め、日常業務の大きな部分を占めておる現実を踏まえて、ホルダーの消毒後の再利用の安全性に関して、直ちに厚生労働省と今後の対応につきまして折衝を行っております。

    従いまして、今後の対応に関しましては改めて、ご通知申しあげます。

微量採血穿刺器具の取り扱いについて(日医:08/7/1;要旨)
  • 微量採血用穿刺器具の取り扱いについて、「微量採血のため穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取り扱いに係わる周知徹底及び調査の実施について」(依頼)医政発第0530006 号、薬食発第0530012 号が、平成20年5月30日に厚労省医政局長と医薬食品局長名で各都道府県知事、各政令市長、各特別区長宛に発出された。この局長通知により、各都道府県で調査が行われている。
      
  • この調査では「都道府県等において調査の結果を取り纏め、厚生労働省に提出する」が求められているが、調査結果を県で公表することを求めてはいない。しかし現在、独自の判断で調査結果を公表している県があり、厚労省は医療安全推進室名で各都道府県へ「公表するなら高知県の公表例をモデルとするように」と通知した。日医が厚労省に真意を正した処、「都道府県で公表するなら、高知県のような正確な公表をするように求めたものであり、決して都道府県に公表を勧めたものではない」との回答だった。
      
  • 「周辺部分がディスポーザブルタイプでない微量採血用穿刺器具」に限ってのQ&A:
    1. 針の交換を行わず他人に使用していた場合:
      • 血液媒介感染の可能性が否定できない為、各医療機関において速やかに検査を行うなど適切に対応。
          
    2. 針の交換は患者毎に行ない、周辺部分を消毒して再使用していた場合:
      1. 厚労省が添付文書で周辺部分の再使用の禁止とした論拠は、”高齢者収容施設で血糖測定用の微量採血用穿刺器具を看護師が他の収容者に対して用いた事例において、B型肝炎が発生した”とする米国の文献(下記)。
        • CDC(Centers for Disease Control and Prevention),MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report)、March 14,1997/Vol.46/No.10
      2. 針と末端キャップのついたペン型の器具で、通常、末端キャップを指に押し付けて、指先を穿刺後、直ちに器具を指先から離してしまうので、血液で汚染される危険性は極めて少ないと考えられる。
      3. 又、日本では、針は交換した上で周辺部分を消毒して複数人へ再使用した為の感染事例の報告は無い。但し、感染の可能性は理論的には否定できないので、現在、感染があったかどうかに関するエビデンスを確認中。
      4. 万一、患者等からの問い合わせがあった場合は、器具の種類、洗浄・消毒の方法を確認し、抗ウイルス作用のあるアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどによる消毒が行われていない場合には、5月30日付厚生労働省から発出された通知にある「Q&A12」に記載のように、保健所等で実施している無料のB型肝炎検査で対応するなど、各都道府県において地域ごとに対応。





真空採血管を用いた採血について '03
  • 日本では真空採血管の滅菌は標準化されていません。
  • 現場の医療関係者としては
    1. 自らの経験・判断に従って、back flowを生じない方法を徹底しましょう。
    2. 真空採血管の滅菌を標準化させましょう。(⇒平成16年7月以降は滅菌
  • その後のニュースはこちら
●経緯
  • 平成15年10月、NHKのニュースで、「欧米の真空管採血スピッツは滅菌処理されているのに、なんと日本のものは・・・」との報道がなされました。
  • この情報、明日からの第50回日本臨床検査医学会総会で「真空採血管の安全性の検討」と題して発表されるもの、のようですが、その抄録の「考察および結論」には、下記とあります。
    真空採血管の滅菌処理を表示しているメーカーは、現在のところ欧米の製造メーカー2社に過ぎない。採血時に back flowが生じるか否かについても日常的に論ぜられることは殆ど無い。今回の検討では back flowが生じる原因として、真空採血管に血液が注入された時点で駆血帯を外した場合には、明らかな back flowが生じることが判明した。この状況は日常的に行われるものではないが、行われる可能性は十分にある。しかも、真空採血管の中には100%細菌汚染の見られるものもあり、医原性感染症を引き起こす可能性もある。従って、医療用に用いられる真空採血管は全て滅菌処理が必須と思われる。
        「臨床化学 第32巻補冊2号・臨床病理第51巻補冊2003」のP168

  • 平成15年11月17日の厚生労働省の通達はこちらにありますが、1-1)駆血帯を装着した状態で採血管をホルダーに挿入しないこと、とか、2-2)採血針を血管に穿刺したら採血管を装着する前に駆血帯を外すこと、とかの記載があります。さて、現場で実際に採血を行っている方々は、この通達の内容で納得できますでしょうか。
  • 因みに私は、「採血終了後、採血管をホルダーから抜いたあとで、駆血帯を外す」でやって来ましたし、今後もこの方法で採血するつもりです。→平成15年12月19日、下記が出ました。これには納得。(∩_∩)
    • 真空採血管を用いた採血マニュアル(pdf;東京都健康局)
      1. (7)駆血帯を外す。
        • 採血終了後採血管をホルダーから抜去した後で駆血帯を外す(図6)(注3)。
        • 採血管をホルダーにつけたまま駆血帯を外すと管内の血液や添加薬物が血管内に入る危険性があるので注意する。
●従来の採血方法の記載
  1. メルクマニュアル「臨床検査」
    • 真空採血管には,ルーチンの検査のための抗凝固薬があらかじめ入れられている。しかし,最も入手しやすい市販の真空採血管は滅菌されていない;それゆえ血液で満たされた採血管から静脈へ血液が逆流すれば細菌も侵入しかねない。このような感染を避けるためには,採血管へ向かう血流が停止する前に止血帯を取り外さねばならない;採血中に患者の腕が動いてはいけない(採血管への吸引が完了した後にほんの数センチ上げるだけでも,静脈圧は十分に低下して逆流が起こる);また採血管の栓側には決して圧力をかけてはならない。可能な限り,滅菌した採血管や針,調節バルブ付きの採血器具を使用すべきである
  2. テルモの添付文書
    • 最後の管に血液が流入し始めたら、駆血帯をゆるめ、規定量採血後に本品(真空採血管)を抜き、続いて採血針を抜く。
  3. 第11回 静脈採血(医学書院)
    •  真空採血管を採血ホルダーに差し入れて,採血管の中に血液が流入し終わるまで待つ(写真B)。複数の採血管がある時には,針先が動かないように採血ホルダーをしっかり固定しながら採血管を順にホルダーに差し替える。 採血が終わったらまず駆血帯を緩め,穿刺部位にアルコール綿を軽く当てながら針を静かにまっすぐ引き抜く。
●某メーカーによる説明
  1. 採血管からの逆流のメカニズム:
    • 採血時に駆血帯を使用した場合、採血部位の静脈圧は平常圧よりも高くなります。駆血帯を使用した場合、真空採血管にて採血操作を行うと、上昇した静脈圧と平衡になるまで、真空採血管内に血液が流入します。採血終了後、静脈内圧と採血管内圧が平衡になった状態で駆血帯を外した場合には、静脈圧は一気に平常圧まで低下するため、血液で満たされた採血管内が、静脈の平常圧より相対的に高くなることにより、採血管からの血液が逆流するものと考えられます。
  2. 駆血帯の適正使用について:
    • 逆流を防止するためには、駆血帯を外すタイミングを下記の(1)か(2)のどちらかの方法で実施ししてください。
      1. 採血終了後、採血管をホルダーから抜いたあとで、駆血帯を外してください。
      2. 採血針を静脈へ穿刺し、ホルダーに真空採血管を挿入し、血液が採血管内に流入し始めたらすぐに駆血帯を外してください。
●欧米での現状
  • BDバキュティナ 滅菌済み採血管:
    1. 1974年、カナダで初めて非滅菌真空採血管の使用に起因すると思われる敗血症の発生が明らかになりました。その後、次々と非滅菌採血管の危険性が報じられ、欧米では既に真空採血管の滅菌が標準化されています。
    2. 欧米における滅菌済み真空採血管使用の標準化
      • カナダ
        法律により非滅菌真空採血管の使用を禁止
        1978年12月健康福祉局(CHWA)は医療機器に関する法律を改正し、1979年4月1日より非滅菌真空採血管の使用を禁止した。
      • アメリカ
        FDAが滅菌済み真空採血管の使用を勧告
        食品医薬品局(FDA)は滅菌済み真空採血管の常時使用を義務づけてはいないが、メーカーおよび使用者に自発的に滅菌真空採血管を使用するよう勧告。
        米国臨床検査標準化委員会(NCCLS)は、FDAから滅菌済み真空採血管の使用勧告を要請され、ガイドラインを滅菌済み真空採血管の使用を強く勧める内容に改正した。
      • ヨーロッパ
        国際標準化機構(ISO)により滅菌済み真空採血管の使用を義務化
        ISO6710によって、採血管の内壁に触れた血液が体内血流と接触する可能性がある場合には採血管を滅菌するよう義務づけた。
    3. 非滅菌真空採血管の危険性に関する報告
      • 1974年12月 真空採血管の使用による敗血症の報告
        カナダのオタワ州にある2病院で、非滅菌真空採血管使用によるセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)起因の敗血症が5例発生。
        [McLeish WA,et al:Contaminated vacuum tubes,Can Med Assoc J,112:682(Mar22)1975]
      • 1975年8月 カナダ医療機器局がバックフローについて報告
        カナダ医療機器局は静脈模型を用いた実験を行い、駆血帯を取り外す時に、腕静脈内圧と真空採血管内圧の差により、採血管から体内に血液の逆流(バックフロー)が認められたと報告。医療機器局は正しい静脈穿刺(真空採血管の栓を常に上向きにするなど)の励行が不可欠であると提言。
        [Katz L,et al:Evacuated blood-collection tubes-the backflow hazard,CanMed Assoc J,113:208(Aug9)1975]
      • 1975年11月 米国疾病予防センター(CDC)が血液細菌検査の誤判定を報告
        米国疾病予防センターは、2病院において真空採血した検体を血液培養した際に細菌の擬似陽性反応が出たことを報告。採血方法が不適切であったことを指摘し、血液培養、血液学検査、生化学検査などに検体を用いる場合には、検査前に無菌であることを確認する必要性を注意喚起。
        [Center for Disease Control:False-positive blood cultures related tothe use of evacuated nonsterile blood-collectiontubes-Georgia,Massachusetts.Mo rbid Mortal Weekly Rep,24:387(Nov8)1975]

        ・・・(以下省略)